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2016年の貿易収支が6年ぶりの黒字、貿易収支が黒字なのはよいことなの?

2/10(金) 11:50配信

THE PAGE

 昨年1年間の貿易収支が6年ぶりに黒字となりました。これは何を意味しているのでしょうか。また貿易収支が黒字なのはよいことなのでしょうか。

貿易収支は4兆741億円の黒字

 財務省が1月25日に発表した貿易統計(速報)によると、2016年における日本の輸出額は70兆392億円となり昨年と比較すると7.4%のマイナスでした。一方、輸入額は65兆9651億円と15.9%のマイナスとなり、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は4兆741億円の黒字でした。貿易収支が黒字になるのは6年ぶりのことです。

 貿易収支はあくまで輸出から輸入を引いた結果にすぎないので貿易全体の動向を示しているわけではありません。日本の輸出は震災をきっかけに減少に転じ、震災前と比較すると数量ベースで10%ほど少なくなりました。その後は、横ばいでの推移が続いており、輸出数量はほとんど増えていません。輸入も数量ベースでは震災以降、大きな変化は見られませんでした。

円高とエネルギー価格の下落

 一方、金額ベースで見ると為替や輸入品価格の影響を大きく受けることになります。昨年は為替市場で大幅な円高ドル安が進んだことで見かけ上の輸出金額が減少しました。輸入額も同時に減少するわけですが、輸入の2割近くを占めるエネルギー関連価格が下落したことで輸入金額の減少はさらに大きなものとなりました。昨年の収支が黒字化したのはこれが原因です。つまり、今回の貿易黒字が意味しているところは、円高とエネルギー価格の下落ということになるでしょう。

 貿易収支については黒字を確保すべきであり、赤字はよくないという意見があります。経済学的には、その国の貿易収支が黒字か赤字かということと経済成長率は直接関係しません。ただ貿易赤字の場合には、その分だけ、外国からの資本流入が増えるということを意味しています。グローバルな資本市場を運営できていない未熟な国の場合には、赤字拡大が弊害となるケースも出てきます。

政治目的のために貿易を使う米国

 一方、米国のように圧倒的な超大国の場合には、いくら赤字が拡大しても、自国市場にほとんどのお金が還流されてくるため、まったく問題ありません。新しく大統領に就任したトランプ氏にいたっては、米国に輸出する国に圧力をかけるという、政治目的のために貿易を使っています。貿易を恣意的にコントロールすることは世界経済全体の効率性を下げますが、相対的に米国が得すれば良いという立場に立てば、こうした少々無茶な政策も実現してしまいます。これも圧倒的な超大国ならではといってよいでしょう。

 日本のようにモノ作りと輸出を国是とする国の場合、どうしても世界経済の動向に国内経済が左右されてしまいます。最終的には赤字か黒字かということよりも、国際市場で競争力のある製品を作ることができるのかどうかが、経済の豊かさを決めることになります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/17(金) 5:15
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