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プライマリーバランス、20年度の黒字化がさらに困難な状況に

2/3(金) 8:30配信

THE PAGE

 政府が掲げる2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという公約の達成がさらに困難な状況となってきました。安倍政権では20年度黒字化という方針について「全く変わりはない(菅官房長官)」としていますが、果たして実際はどうなのでしょうか。

最新版の試算では基礎的財政収支は2.8兆円ほど悪化

 基礎的財政収支とは、国債の利払いと償還費を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入に関する財政収支です。つまり、純粋な税収と支出のバランスについて見るための指標ということになります。日本政府は、基礎的財政収支について2020年度に黒字化するという公約を掲げており、内閣府では財政状況を検証する目的で、年2回、中長期の財政収支試算を行っています。

 1月25日に公表された最新版の試算によると、2020年度における基礎的財政収支は8.3兆円の赤字となり、黒字化はかなり困難という結果になっています。前回(2016年7月)の試算では2020年度の赤字は5.5兆円でしたから2.8兆円ほど悪化したことになります。

 原因は税収の落ち込みです。2016年度の税収が想定を下回ったことから、その前提条件を適用したことで2020年度の想定税収も減り収支が悪化しました。

見通しは楽観的、悪化する可能性も

 もっとも、この中長期の試算は前提条件の置き方で数値が変わるため、結果を操作できるという面があることは否定できません。前回試算との比較では、長期金利の見通しがかなり低めになったほか、歳出は以前よりも少なく見積もられています。GDPに対して税収をどの程度、確保できるのかという割合は前提条件とは乖離する可能性があるでしょう。

 もっとも、2018年度の名目GDP成長率は2.9%、2019年度は3.7%、2020年度は3.8%と、現状と比較してかなり楽観的な成長率見通しとなっており、全体的に見れば甘い試算ということになります。このまま低成長が続いた場合には状況はさらに悪化する可能性があります。

 これに加えて注意する必要があるのが金利動向です。基礎的財政収支は国債を除外した収支ですが、現実の財政収支では国債費が極めて大きな影響を及ぼします。現在、日本政府は800兆円を超える国債を保有しており、その利払いだけで年間10兆円に達します。現在は量的緩和策で低金利が続いていますから、この水準に抑えられていますが、金利が1%上昇しただけで利払いは数兆円単位で増えていきます。

 もし金利が数パーセントというレベルまで上昇すると、税収の多くが利払いに消えてしまい、日本政府は実質的に予算を組めなくなってしまいます。本当に注意すべきなのは、基礎的財政収支ではなく利払いも含めた総合的な収支でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/9(木) 17:15
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