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海を渡る金子みすゞ 詩と生涯伝える絵本がアメリカで出版 美しい挿絵と響く言葉

2/5(日) 13:33配信

BuzzFeed Japan

「みんなちがって、みんないい」。命を慈しみ、深い思いやりの眼差しを向けた詩人金子みすゞ。その詩や生涯を伝える英語の絵本が出版されました。自分中心に考え、異なる外見や考えの人たちを排除する風潮が世界に広がるいま、みすゞの言葉を広める意味は。【BuzzFeed Japan/溝呂木佐季】

金子みすゞは1903年、山口県に生まれた。本名はテル。当時の女性としては珍しく高等女学校まで通った。書店で働きながら、詩の投稿を続け、西条八十に認められるなど脚光を浴びた。

だが、見合い結婚後に人生は暗転する。夫から移された病気に苦しみ、詩作も禁じられた。離婚するが、その元夫から一人娘を奪いに来るという手紙を受け取り、自ら命を絶った。娘を自分の母親に育てさせてほしいと書き残して。26歳だった。

死後、その作品は長く忘れられたままだった。作品「大漁」を目にして魅了された詩人・矢崎節夫さんが痕跡をたどり、1982年に遺稿集を発掘。2年後「金子みすゞ全集」が発行された。みすゞの詩は1996年度、小学校の国語の教科書3冊に採用されている。

英語絵本の題名は「Are You an Echo?」(こだまでしょうか)。前半は、みすゞの生涯と作品を織り交ぜた。後半は詩集で、15編の詩を対となる英訳と載せた。絵本画家・羽尻利門さんが挿絵を描いた。

イワシの気持ち

著者は米シアトル在住のデーヴィッド・ジェイコブソンさん。みすゞの詩に出会ったのは2012年。エール大で日本の政治経済を学び、いまは出版社で働くジェイコブソンさんの元に、日本の友人から詩集が送られてきた。

新年の華やぎの中、逃げていく「去年」へ至す想い。大漁を祝う人々と対比される、獲られたイワシに寄り添う気持ち。「優しい心、思いやりの心。その普遍性。みすゞの視点の転換、その広さに目を開かれました」とジェイコブソンさんはBuzzFeed Newsに語る。

「100年ほど前に日本で書かれた詩ですが、時代や文化を超えて、アメリカ人の私の心に迫るものがありました」

自分が一番で人間が中心といった考え方を完全にひっくり返す詩。詩の英訳は1995年と99年に出ているが、みすゞの存在は広く知られていない。ジェイコブソンさんは、子どもが触れやすい絵本を作ろうと思い立った。みすゞの人生を織り交ぜて。

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最終更新:2/5(日) 13:33
BuzzFeed Japan