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超常現象番組のマンネリ化 脱却するには新たなスタンスが必要?

オリコン 2/8(水) 8:40配信

 毎年、夏や年末になると恒例のように放送される“超常現象系”番組。一定の需要がある人気企画だからこそ放送されるわけだが、超能力や心霊現象、UFOやUMA(未確認動物)といった各ジャンルの映像も、最近はどこかで見た同じ映像ばかりだったり、明らかにフェイクだったりと、ガッカリする視聴者も多いはずだ。

【写真】UFOが落ちた町とされる米国・ロズウェルの『UFOミュージアム』

◆“非日常”の世界をリアリスティックに描いた70年代のオカルトブーム

 かつて1970年代は、映画『エクソシスト』(1973年)や『ノストラダムスの大予言』(1974年)の大ヒット、漫画で言えばつのだじろう氏の『うしろの百太郎』や『恐怖新聞』(ともに1973年)、古賀新一氏の『エコエコアザラク』(1975年)など、さらにはユリ・ゲラーが来日(1974年)し、テレビで“スプーン曲げ”を実演したことも相まって、日本中がオカルトブームに沸いた。

 それから今にいたるまで、テレビでは超常現象系番組が定番企画になっていくのだが、その嚆矢となったのは何と言っても、1973年に始まった『お昼のワイドショー』(日本テレビ系)内の企画「怪奇特集!!あなたの知らない世界」であろう。当時の小中学生は夏休みになると同企画をこぞって観ており、青島幸男氏の司会のもと、解説者に超自然現象研究家の中岡俊哉氏や、放送作家の新倉イワオ氏を迎えるという本格的な内容で、視聴者の心霊体験を再現ドラマで見せるなどの手法は、その後の超常現象系番組の基本パターンを築いたとも言える。

 経済問題から超常現象まで幅広いジャンルを捉える社会分析アナリスト・作家の高島康司氏は当時の超常番組の魅力について次のように語る。
 「1970年代にユリ・ゲラーをテレビで紹介した矢追純一氏の『木曜スペシャル』に代表されるような、UFOや宇宙人の番組が見せてくれる“非日常”の世界には非常にドキドキ感があり、未知の世界へと誘う強烈な輝きを放つ魅力がありました。いわゆる超常現象系の番組というのは、日常を超えた“非日常”の世界があり得るんだということを表現できたというところが大きなポイントですね」

◆ネタの使いまわしでマンネリ化、映像技術の進化で“フェイク映像”がバレやすい状況に

 しかし90年代に入ると、早稲田大学の物理学教授大槻義彦氏などに代表される、霊現象自体に疑義を呈する“懐疑派”が現われ、超常現象系番組自体の内容も、霊能者や超能力者の能力や心霊現象が“本物かウソか?”といったものになっていく。そして1995年のオウム真理教事件により、超常現象系番組は一気にトーンダウンしていった。それでも2000年代に入ると、『USO!?ジャパン』(TBS系/2001年)など心霊写真や心霊スポットを紹介する番組がはじまるが、出演者にTOKIOの国分太一や嵐などのジャニーズ陣をそろえ、内容もヘビーな超常現象以外に都市伝説やトンデモ系のネタも取り入れて、視聴者も楽しめる明るいバラエティに仕立てられた。

 さらに、ここ最近になって心霊現象やUFO、UMAなどの“写真”や“映像”ネタは、国内のものより海外のものが主流になり、視聴者もどこか以前に他局やYouTube、雑誌などで観たことがあるなぁといったネタが使い回されているようになるのだ。しかもネタのマンネリ化のみならず、今やデジタル技術の進化やSNSの普及により、映像のネタがフェイクか否かを、視聴者もすぐに判別できるソースを持つまでにいたっている。つまり“ネタバレ”がしやすくなっているのだ。

 映像の使い回しに関しては、『マツコの知らないUFOビジネスの世界』(TBS系/2015年8月11日)にゲスト出演したオカルト評論家の山口敏太郎氏が、UFOや宇宙人の海外映像を紹介しながら、“心霊系の動画の予算は1万円、使用料は2万円で映像制作会社はボロ儲け”“(有名な)宇宙人解剖映像は1秒30万円”などと、真偽のほどは定かではないにしろ、暴露してることでもわかる。

◆今後は種明かし方式の導入、“ネタ”として楽しむことが新たなマナーに?

 超常現象系に勝るとも劣らない人気を誇る“マジック系”番組にしても、最近ではほとんどのマジックはすでにネタバレしてるものが多く、視聴者の目も肥えていることから、今のマジック系番組では、“スプーン曲げ”や“トランプマジック”などのを“種明かし”するという内容のものが増えている。となると、今後の超常現象系の番組は『マツコの知らない世界』のような“種明かし方式”導入も視野に入れた番組作りに移行する可能性は高い。

 タレントの伊集院光は、「今、PhotoshopやAfter Effectsの性能も上がって、パソコンも安価で家庭内に入ってきて高性能だからさ、ガッツさえあれば色んなCG作れるじゃん。お化けが映ってる動画とかもいっぱいあるけど、“上手い”って思ったりするじゃん(笑)。(略)もはや俺の中では“野暮だな”とか“その宇宙人の見せ方、粋だね”っていうところに入っちゃって(笑)」(『深夜の馬鹿力』TBSラジオ系)と語るように、もはや映像の“真偽”ではなく、その“ネタ”がうまくできてるかどうか、楽しめるかどうかという境地にまで達しているとのことなのである。また実際、そうした視聴者は案外多いのではないだろうか。

 マジック系番組と同じように、“ブレインダイブ”を駆使する新子景視やDr.レオンなどが、予め「これはマジックです」と銘打っていたとしても、映像を観た視聴者にはさっぱりわからない新しい技を見せるように、超常現象系番組も同様に、「これはフェイクです」と銘打ったとしても、ド肝を抜かれるような映像や、その技術の妙に魅了されるという方向に舵を切る時期に来ているのかもしれない。

最終更新:2/8(水) 12:08

オリコン

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