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「『ありがとう』の言葉だけが支え…」 命預かる仕事、見合わぬ給与 介護士37歳

2/8(水) 17:10配信

沖縄タイムス

【連載「働く」を考える】

 「人の命を預かっていて責任も伴うのに、処遇が追い付いていない」。特別養護老人ホームで働く介護士の新垣翔太さん(37)は、賃金の低さに首をかしげる。夜勤を中心に週5日働いて手取りは月15万円だ。

 入所者の食事・入浴介助やおむつ替えなど、体力も神経も使う。高齢者の体は軽くぶつけただけでうっ血するほど繊細だが、職場は慢性的な人手不足で、2人でやるべき入浴介助を1人でやることもよくある。

 別の施設の介護士に聞いても同じような処遇で、「フルタイムで12~13万円はざら」。人手不足で働き口を探すのは容易だが「他の所に行っても同じ」と割り切る。

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 県外の介護士より手取りは10万円ほど少ないという。「介護報酬は全国一律で同じ仕事なのに、なぜこんなに違うのか。10万円はどこに消えているんだろう」

 介護保険制度では、介護サービスの対価が全国一律で決められているが、人件費比率は施設の経営状況や地域の最低賃金に左右されるという。国の介護職員処遇改善交付金として、新垣さんは月1万円ほど受け取っているが、仕事内容に見合った給料にはほど遠い。

 新垣さんは将来、看護師を目指している。学費をためるため、1年ほど前から空き時間に少人数の高齢者が共同生活を送るグループホームでも夜勤を始めた。

 老人ホームで午後3時~翌午前9時まで働き、帰宅して炊事洗濯掃除を済ませ、寝る。早めの夕飯を食べ、グループホームで午後5時~翌午前9時まで働く。1日休み、これを繰り返す。平均睡眠時間は3~4時間だが「平気になった」。

 日勤もあるが、より給料のいい夜勤を多くこなし、手取りは合わせて20万円。在籍する老人ホームはダブルワークを認めていないが、伏せて働き続けている。

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 ストレスを上手に発散しないと体力も気力も持たない。「権利なのだから取るのが普通」と年休を積極的に取るようにした。

 新垣さんは「沖縄で働く人は権利に無頓着なところがある」とみる。「『働ければいいや』って何も言わない。中小企業が多いし、介護士の組合があるとも聞いたことがない」

 「今は入所者の『ありがとう』の言葉だけでやっているようなもの。やりがいがあって働くのは好き。一つの仕事で生活できるようになって、もっとゆとりのあるケアをしたい」。それが新垣さんの本音だ。

 国が推進する働き方改革に、「介護の人手不足やその人に合った働き方ができるようになれば」と期待している。(文中仮名)(学芸部・榮門琴音)

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最終更新:4/1(土) 11:50
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