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がんの高額治療費をクラウドファンディングで募集 英バンドメンバーも

2/12(日) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Margarette Driscoll】
 英南部サウサンプトン(Southampton)に住むグレッグ・ギルバート(Greg Gilbert)さん(39)は新年早々、自分の名がツイッター(Twitter)でトレンドになっていることに驚いた。彼がボーカルを務めるインディーズバンド「ディレイズ(Delays)」の曲がシェアされて話題になっていたのなら天にも昇る思いだったのだが、実際に拡散されていたのは、手術不可能な末期がんに侵されているという自分に関するツイートだった。「正直なところ、今でも現実とは思えない」とギルバートさんは言う。

 ギルバートさんはこの2年間、過敏性腸症候群と誤診されてきた。だが昨年11月、痛みのあまり嘔吐(おうと)して倒れ、恋人のステイシー・ヒール(Stacey Heale)さんが救急車を呼んだ。救命救急士がギルバートさんの腹部に「閉塞(へいそく)」があることに気付き、病院に到着後すぐにギルバートさんは精密検査に回された。

「それから2日間、医師から話を聞くたびに悪いニュースが増えていった」とヒールさんは言う。

 2人の間に生まれた次女の1歳の誕生日、医師に告げられたのは腸の腫瘍が肺に転移しているということだった。ヒールさんは、ギルバートさんが医師に余命を尋ねるのを聞いたときが人生最悪の瞬間だったと振り返る。「あのときの恐怖とショックは一生忘れないと思う」

 がんの告知を受けて以来、ヒールさんはギルバートさんと3歳と1歳になる2人の娘の世話をする一方で、昼も夜もパソコンに向かい、希望が見えるような治療法や臨床試験はないか検索した。

 初期検査で判明したのは、ギルバートさんの体が、英国民保健サービス(NHS)が適用される唯一の免疫療法には遺伝的に適合しないことだった。一方、保険適用外の免疫療法薬アバスチン(Avastin)は、10万ポンド(約1400万円)前後と高額だった。

 そこでヒールさんはクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」で寄付を募ることにした。ギルバートさんのバンドのファンのおかげで、13万6000ポンド(約1900万円)集めることができた。

「何かせずにはいられなかった」と、ヒールさんは言う。「これは私たちだけの問題じゃない。約2人に1人はがんになると言われるけど、ほとんどの人は大金を持ってない。絶望的な状況が多く、心が痛む」

 医学的な情報がネットで簡単に手に入るようになった今の時代、ヒールさんのように治療法やその効果を自ら調べる人は増えているが、その治療費が非常に高額の場合もある。

 治療費を捻出するために家を売り払ったり破産に追い込まれたりする人たちもいると、大腸がんの研究を支援する慈善団体「Bowel Cancer UK」のデボラ・アルシナ(Deborah Alsina)代表は言う。

 ギルバートさんは、理想的なシナリオは「奇跡が起きて、集めたお金を他の患者に譲れるようになることだ」と語った。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:2/12(日) 10:00
The Telegraph