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東芝の巨額減損で注目、日本企業の大型海外M&Aはうまくいかないの?

2/16(木) 8:00配信

THE PAGE

 東芝は2016年4~12月期の最終損益が4999億円の赤字となることを発表しました(監査法人承認前の見通し)。12月末時点の株主資本は1912億円のマイナスとなり、債務超過の状態に陥ってしまいました。巨額赤字の原因になったのは、買収した米国の原子力事業でした。日本企業による大型の海外M&A(合併・買収)は、うまくいかないケースが多いともいわれますが、何がその結果を分けるのでしょうか。

東芝によるウェスチングハウスの場合

 東芝は2006年に54億ドル(当時のレートで約6400億円)を投じて米国の原子力企業ウェスチングハウス(WH)を傘下に収めました。しかしWHの事業は予定通りには進まず、業績を拡大するため無理をしてプロジェクトを受注した結果が今回の損失につながってしまいました。直接的な原因は不採算プロジェクトですが、高すぎる価格で無理にWHを買収したことが巨額損失の遠因になったことは間違いありません。

 日本企業は海外の大型M&Aにあまり慣れておらず、失敗するケースがしばしば見られます。

日立製作所によるIBMハードディスク事業の場合

 日立製作所は2002年、米IBM社からハードディスク(HDD)事業を約20億ドル(当時のレートで約2500億円)で買収しました。買収前後からHDDの分野は価格破壊が進み、毎年100億円規模の赤字が発生。日立は2011年に、同事業を米ウェスタン・デジタルに約43億ドル(当時のレートで約3500億円)で売却してしまいました。

 見かけ上、取得コストとの差額で利益が出ていますが、9年間の累積赤字や、工場への追加投資などを含めると採算割れした可能性が高いといわれます。HDD事業の採算悪化を懸念する声は当時もありましたが、「選択と集中」「グローバル経営」といった賞賛の声にかき消されてしまったようです。

三菱地所によるロックフェラーセンターの買収

 少し古いところでは、三菱地所によるロックフェラーセンターの買収があります。三菱地所は1989年、約2200億円の資金を投じてマンハッタンのロックフェラーセンターを買収しました。ところが不動産市況の冷え込みで地価は暴落、最終的に同社はこの物件の大半を米国に売り戻し、1500億円の特別損失を計上しています。結局のところ米側は、日本に高値で不動産を売り抜けて利益を上げ、後でそれを安く買い戻したことになります。

 ロックフェラーセンターは日本では東京タワーのような存在であり、まさに米国の魂ともいえる不動産でしたし、IBMのHDD部門はIT業界では名門中の名門です。ウェスチングハウスもかつては米国を代表するブランド企業でした。こうした案件は価格が高くなりがちで、よほど精査しなければ投資収益を確保できません。

ソフトバンクによるARM買収

 昨年、ソフトバンクは英国の半導体企業ARMを3兆円という高値で買収して話題になりました。3兆円という価格は高すぎるという指摘もありますが、同社が今後、生み出す利益を考えれば妥当との見方もあります。少なくとも、ARMについては、かつての名門企業にブランド料が上乗せされた案件ではありませんから、今後の事業展開次第では、投資採算を確保することは可能かもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/23(木) 8:16
THE PAGE