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もう一つの利上げは3.75%? FRBの「バランスシート縮小」にも要注意

2/21(火) 7:50配信

THE PAGE

 米国の中央銀行連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の正常化を巡っては「政策金利の引き上げ」と「バランスシート縮小」の2つが柱となります。

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 このうち、政策金利の引き上げについては、ある意味議論が出尽くしている印象ですが、バランスシート縮小に関する議論は現時点でさほど過熱しておらず、市場の関心もさほど高くないように思えます。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

バランスシート縮小すると、どうなる?

 なお、ここでいうバランスシート縮小とは、FRBが保有する国債やMBS(住宅ローン担保証券)を手放すという意味です。FRBは3度にわたる量的緩和(QE)政策で大量の国債、MBS(両者を以下では国債等と表記)を市場から買い上げた結果、現在のバランスシートの規模は4.5兆ドルに達していますが、これを元の水準に戻そうとしています。その方法は、保有している国債等が満期償還を迎えた場合、それを再投資せずに放置することで、時間の経過と共に“自然減”を待つというものです。決して、国債等を売りに出すのではありません(国債が暴落してしまうので)。

 バランスシート縮小は長期金利上昇を通じて、政策金利(FFレート)の引き上げと同等もしくはそれ以上の引き締め効果を生み出す可能性があるため注視すべきです。2015年12月の初回利上げ以降、FFレートが50bp上昇するのをよそに10年金利は平均すると低下しているため、借入コストでみた引き締め度合いは寧ろ緩和方向にあると言えます。実際、FRBが実施している銀行融資担当者調査(シニアローン・オフィサー・サーベイ)をみると、貸出姿勢が厳しくなっているわけではありません。このことは企業金融に引き締め効果が及んでいないことを意味しています。ここで連邦準備制度(FED)がバランスシート縮小すれば、そうした緩和的な金融環境が終焉する可能性があるでしょう。

 FRBは過去に「1500億ドルから2000億ドルの資産購入は25bpの利下げに相当する」という試算結果を示していました(2011年3月1日のバーナンキ議長の議会証言)。この試算はQE3実施前の推計につき、かなり幅を持ってみる必要がありますが、これを現在に当てはめると、ある程度バランスシート縮小の引き締め効果が可視化できます。現在FEDのバランスシートは4.5兆ドルですが、シカゴ連銀・エバンズ総裁は2月9日の講演で「バランスシートの静止点は1兆ドル以上、もしかすると1兆5000億ドルの可能性がある」としていたので、単純計算で3兆ドル程度縮小する可能性があります。ここから得られる引き締め効果は375bpの利上げに相当するので、もの凄い金融引き締めです(3兆ドル÷2000億ドル=15回 15回×25bp)。さすがにこれは過大推計の印象を受けますが、16年12月にFEDが2017年の利上げ計画を2回から3回に上方修正しただけで金融市場に比較的大きなインパクトを与えたことを思い出してください。それと比較した場合、今後、FEDがバランスシート縮小を巡る議論を具体化した際にかなり大きな影響を与える可能性があるでしょう。

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最終更新:2/28(火) 8:02
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