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介護保険、自己負担割合引き上げ。介護離職ゼロはますます困難に?

2/19(日) 8:00配信

THE PAGE

 政府は7日、比較的所得が高い高齢者の自己負担見直しを盛り込んだ介護保険法改正案を国会に提出しました。所得が高い高齢者の自己負担割合については2015年8月に1割から2割に引き上げられたばかりですが、法案が成立すれば一部の高齢者は自己負担が3割になります。

1人暮らしで年収340万円以上は自己負担が3割に

 介護保険は原則として1割の自己負担で介護サービスを受けることができる制度です。しかし、年金や医療と同様に財政状況がかなり苦しくなっており、2015年8月に自己負担割合の見直しが行われました。各種の条件によって金額は異なりますが、実質的な所得が280万円以上ある単身高齢者の自己負担は1割から2割に引き上げられています。

 しかし、高齢者の増加に伴って介護費用は増える一方であり、今回、さらに自己負担の引き上げが予定されています。改正案では、1人暮らしで年収が340万円以上ある人の自己負担が2割から3割に引き上げられます。負担が増加するのは、利用者のうち3%程度と見込まれています。

介護の2025年問題とは

 ただ専門家の多くは、今後、高齢化がさらに進展することから、介護をめぐる状況はますます厳しくなると予想しています。介護業界では現在、介護の2025年問題が取り沙汰されています。介護の2025年問題というのは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるタイミングである2025年前後に、要介護者が急増するというものです。

 厚生労働省の試算によると、2025年度には全国で253万人の介護職員が必要となりますが、現状のままでは約215万人しか人材を確保することができず、約38万人の介護職員が不足するそうです。介護職員の給与水準は低く、なかなか人材を集めることができません。一方で給与を大幅に上げてしまうと、今度は介護保険の財政がさらに悪化してしまいます。

「介護離職ゼロ」を掲げる安倍政権

 安倍政権は、家族の介護を理由に仕事を断念する、いわゆる「介護離職ゼロ」を掲げています。しかし、自己負担割合が上がってしまうと、同じ金額で受けられる介護サービスの水準が低下することになり、結果として家族の負担が増えてしまいます。自己負担割合の引き上げと介護離職ゼロを両立させることは非常に難しいわけです。

 これからの20年は、35歳以上の中核的な労働者の人口が急激に減少することが予想されており、介護離職は経済成長にとって大きなマイナスとなります。しかし、深刻な財政問題を考えると介護費用を大幅に増やすのも困難という状況です。いわゆる「いいとこ取り」はできませんから、最終的にはどちらを優先するのか、わたしたちは決断する必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/26(日) 8:02
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