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[トランプ後の世界] (上) アメリカファーストの実像 国際ジャーナリスト 堤未果氏

2/17(金) 14:00配信

日本農業新聞

 国際ジャーナリストの堤未果氏が、トランプ米政権始動を受けて、日本農業新聞に特別寄稿した。トランプ大統領の誕生は、新自由主義に待ったをかけ「自国第一」を望む国民の声を反映した世界的な潮流で、日本もこの流れに乗り、尊いものを守るべきだと提起する。 

 オバマ前大統領が2009年の就任時に掲げたチェンジが幻想に終わり、今度こそ変わりたいと米国民が未来を託して誕生したドナルド・トランプ大統領。一握りの超富裕層が私物化した政治を国民の手に取り戻し、再びこの国を「自由で偉大な米国」にするという就任演説に国内外から多くの期待と不安を集め、新政権はスタートした。繰り返し出てくるキーワードは「アメリカファースト」。日本のマスコミは「保護主義」「孤立主義」などと報道しているが、正確には「国内優先主義」だ。

 環太平洋連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)見直しとはすなわち、過去数十年、米国が主導してきた行き過ぎたグローバル資本主義にいったん待ったをかけること。雇用が人件費の安い途上国に流れ、国内産業が破壊される上に、利益はグローバル企業が本社を最低税率地域に移してしまうので税金として米国に還元すらされない。

 8年前、この悪循環を止めるべきだと訴えて大統領になったオバマ前大統領は、グローバル企業群や金融業界から巨額の献金を得ていたため、就任後は公約を翻した。「共和党から民主党に変えてもダメ」「白人から黒人に変えてもダメ」「結局政治が金で買える商品に成り下がっていることが元凶なのだ」。そう気付いた多くの国民によって選ばれた、政治は素人だが利益業界のひも付きでないトランプ大統領は、今そうした企業が生産拠点を国内に戻した際の税金優遇措置や「他国で安く作った商品を米国内で売る際の高課税などの政策」を着々と進めている。

「利益業界」にメス

 オバマ政権下でかつてないほど高速回転していた「業界と政界の間の回転ドア」は、「政府職員のロビー活動を5年間禁止」するという大統領令によってようやくメスが入り始めた。医産複合体は、就任式当日に業界のドル箱といわれる「オバマケア廃止」の大統領令に署名され、打撃を受けている。

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最終更新:2/17(金) 16:52
日本農業新聞