ここから本文です

[トランプ後の世界]<特別寄稿>(下) 日本も世界の潮流に乗れ 国際ジャーナリスト 堤未果氏

2/18(土) 7:01配信

日本農業新聞

 私たち日本人は、選挙中から今に至るまで、テレビを付けても新聞を広げても集団ヒステリーのようなトランプ批判ばかり聞かされている。一時的入国規制についてもメキシコの壁についても、その実態や歴史的背景は全く報道されず、クリントン支持の米国マスコミ各社からの批判的情報しか出てこない。

 マスコミが一斉に同じ方向で一人の人物や団体をたたくという現象を、いったいこれまで私たちは、何度目にしたことだろう? 過去をひもとき、そこで何が起きていたのかを見ない限り、人は何度でも本質から目をそらされる。トランプ個人ばかりに目を向けていては決して見えないが、今起きていることは、米国一国だけでなく欧州やアフリカや東南アジアでも同時に起きている潮流だ。

 英国の欧州連合(EU)離脱の背景には、EUの巨大官僚支配から抜けて主権を取り戻したいという、国民の声があった。フランスやイタリア、フィリピンでも、自国第一主義的な主張をする政治家が支持を得ているのは決して偶然ではない。

 米国民が選んだ「自国ファースト」によって結果的に環太平洋連携協定(TPP)を免れた私たち日本人も、この流れにしっかりと乗り、貴いものを守るチャンスに変えるべきだろう。

民を幸福にしよう

 トランプ大統領への支持は、都市部にばかり足を運んだクリントンが軽視した地方で積み上げられていった。日本にも成熟した地方ネットワークが存在する。それは、地方局や地方紙の視聴者・読者であり、JA組合員の組織だ。政府が主導する農協改革のように、JA全農の株式会社化やJA事業の分割などを進め、組合員優先の体制を崩そうとする動きに、毅然(きぜん)と反論していかなければならない理由はここにある。

 組合員の暮らしの向上を第一の目的とする協同組合で、巨大資本によって買収できない、鉄壁の「組合員ファースト」であるJAのような組織こそ、失ったものを取り戻そうとする世界中の民と、国境を越えてつながることができるからだ。

1/2ページ

最終更新:2/18(土) 7:01
日本農業新聞