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将来は五輪選手? 物理学者? 中国で子どもの遺伝子検査が流行

2017/2/19(日) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Neil Connor】
中国東部・浙江(Zhejiang)省に住むファン・イーメイさんは、11歳の息子がチェスのレッスンをやめてフェンシングに専念したいと言い出したとき、反対しなかった。以前受けた遺伝子検査で、息子は頭を使うことよりもスポーツで秀でるだろうと言われていたからだ。

 中国ではファンさんの息子のように、将来的にどの分野で才能を発揮するかを「明かす」遺伝子検査を大勢の子どもたちが受けている。「他の2人の息子も検査して、絵画の才能があると言われました」とファンさんは言う。「だから彼らには絵の習い事をさせるつもりです」

 中国では英才教育に熱心な親たちの間で遺伝子検査がトレンドになるにつれ、検査を行う「医療機関」の数も増えている。こうした機関は、早ければ子どもが1歳のうちから、次なるスティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士やレディー・ガガ(Lady Gaga)、あるいは五輪メダリストになる才能の有無を調べることができるとうたい、高額な検査費を請求している。

 子どもの唾液を採取してから約2週間で、親は結果を聞かされる。その子どもが秀でている分野に加えて、全体的な知能レベルや感情理解、集中力、性格は内向的か外向的かといったことも告げられる。

 浙江省・杭州(Hangzhou)にある遺伝子検査企業「1ジーン(1Gene)」は活況を呈している。ワン・ジュンイ(Wang Junyi)社長によれば、昨年10月に正式に開業して以来、英才教育に熱心な親に連れられて「何千人もの」子どもたちが検査を受けたという。

 だが、専門家たちはこうした遺伝子検査の科学的根拠は極めて疑わしいとしている。また子どもが自由な将来をもつ権利をめぐる倫理的懸念も高まっている。

 天津国際生物医薬連合研究院(Tianjin International Joint Academy of Biomedicine)で遺伝学を専門とするチャン・ツィソン(Chang Zisong)氏は、遺伝子検査は「無意味だ」と指摘する。「中国政府が遺伝子検査機関や企業を法的に取り締まらない第一の理由は、規制すれば、かえってそこに科学的な価値があるように見えてしまうからだ」と、同氏は言う。

 英スウォンジー大学(Swansea University)のマイク・マクナミー(Mike McNamee)応用倫理学教授は、遺伝子検査産業は急成長中で巨大な利益を生む可能性もあるが、そうした検査を信じているのは「だまされやすい」人々だと言う。

「(遺伝子検査によって)才能を見極めるというのは大まかに単純化しすぎで、企業が没頭している遺伝子工学の力を過信している」と、マクナミー教授。「子どもが偉大な短距離選手になるのか、それとも他の偉大な何かになるのか知りたければ、親はわが子の姿を見に行って自分の目で確かめるべきだ」【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:2017/2/19(日) 10:00
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