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ナイジェリアの漁村を染める石油の光 魚を奪い、村人に恩恵もなく

3/4(土) 14:10配信

THE PAGE

 ナイジェリアの産油地帯、デルタの漁村で数日を過ごした。水道も電気も通っていない典型的な田舎村だ。夜になってふと気づいた。電気もないのに、あたりが真っ暗にならない。いつまでも夕焼けが残ったように、空がオレンジ色に染まったままだ。村の隣にある、エクソン・モービルの石油ターミナルから上がる炎のせいだった。ここで採掘、精製される石油は、輸送されてアメリカや日本でも消費されることになる。

フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>- 高橋邦典 第43回

 石油と隣り合わせに住んでいるのにもかかわらず、ここの漁民たちにその恩恵がもたらされることはない。気温30度を超える蒸し暑さの中、エアコンもなく、夜になればロウソクの光が頼りの生活だ。

 恩恵どころか、石油採掘が始まってから魚が減った、と漁師たちはぼやく。ジェリーという名の漁師の船に乗せてもらい、夜間の漁に同行する。老朽化した木の小舟の船底から染み出してくる水を汲み上げながら、夜の海を漂った。

 沖合に、海底採掘場から上がる油田の炎が揺らめいて見える。時折網を張っては引き上げるが、かかるのは雑魚ばかり。5~6時間波に揺られ空が白む頃、浜に戻った。採れたのは洗面器一杯ぶんの小魚。家族で食べる分を差し引いて残りを売るが、船の燃料代を差し引くと、残るのはわずかばかりだ。

(2005年11月撮影)

※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>」の一部を抜粋したものです。

最終更新:3/10(金) 19:05
THE PAGE