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石炭運び、1日たったの数百円 低コストだが環境負荷大の火力発電に頼る国

3/12(日) 14:10配信

THE PAGE

 石炭を一杯に詰め込んだカゴを頭にのせ、女性たちが黙々と砂利道を歩く。カゴの重さは20キロ以上。何度も丘を上り下りするのは楽な仕事ではない。採掘場に残された石炭を拾い集め、仲買人に売る彼女たちが稼ぐのはせいぜい1日数百円ほどだ。

フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>- 高橋邦典 第43回

 「これしか仕事はないからね。他に何ができるっていうんだい?」

  腰を下ろした一人が、悪びれる様子もなく言った。

 インド東部のジャルカンド州は国内で石炭埋蔵量1位を誇る。12億を超える人口を支えるエネルギーの過半は石炭でまかなわれるから、炭鉱はインドの心臓、といっても過言ではない。モディ首相は就任後、豊富に埋蔵され、コストの安い石炭の増産計画を打ち出した。反面、インドの大気汚染は悪化する一方で、今や悪名高い北京を凌ぐほどと言われるほどだ。地球温暖化に与える影響も深刻だから、国際社会の懸念は強い。

 石炭火力発電については、日本も他人事ではない。福島原発事故の後、安い燃料で電力を安定供給させたい政府によって、全国での火力発電所の新設計画が相次いでいる。

 石炭火力は天然ガスなどに比べると2倍以上の二酸化炭素を排出するので、環境への影響は大きい。G7先進国のなかで、石炭火力発電所を増設しようとしているのは日本だけ。世界がクリーン・エネルギーに向かっている中、原発再稼働や火力発電増産など、日本政府はどうしてこう頓珍漢なのか?

 12億の人口に電気を供給するために苦戦するインドと違い、小国日本にはその気になれば原発や石炭火力増設以外にいくらでも発電手段がある。大手電力会社の利益ばかりを優先し、長い目で見た環境や国民の健康を無視した日本の政策は、すでに光の乏しいこの国の未来を一層暗くするだけだ。

(2014年12月撮影)

※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<地球温暖化のいま>」の一部を抜粋したものです。

最終更新:3/16(木) 19:05
THE PAGE