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A東京が残り0.6秒の決勝弾で痛恨の逆転負け、敵将は「彼らこそ勝者に値した」と称賛

2/23(木) 12:09配信

バスケットボールキング

 2月22日、B1リーグ第21節アルバルク東京vs栃木ブレックスが府中郷土の森体育館で行われた。

 この府中市は東京都のほぼ中心に位置し、律令時代には武蔵国の国府が置かれていたことから「府中」と呼ばれることになった。普段ホームアリーナとして使用する国立代々木競技場第二体育館とは異なる立地で、しかも平日開催ではあるものの、そこはリーグ屈指の好カード、東地区で29勝7敗の同率で並ぶ首位決戦に会場は満員となった。

 A東京は先日、トロイ・ギレンウォーター、アンドリュー・ネイミックの外国籍ビッグマンをカットし、新戦力であるNBAのチャンピオンリングホルダーであるジェフ・エアーズとトレント・プレイステッドの獲得を発表した。しかし、今節にも両助っ人は間に合わず、リーグの“顔”である田臥勇太、ライアン・ロシターらを擁する栃木をオンザコート1-1-1-1で迎え撃つ苦しい戦いとなった。ティップオフは19時15分。田臥にミドルシュートを決められて先制を許したA東京だったが、すぐに正中岳城が3ポイントシュートを決め、ここからファウルもターンオーバーも少ない質の高いゲームを展開する。外国籍選手を欠き、ゴール下を一手に担う竹内譲次はオフェンスリバウンドを奪って得点を挙げ、田中大貴はダンクを見せるなど、高さで上回る栃木を相手に、A東京は第1クォーターを26-23とリードして終える。続く第2クォーターに連戦の疲れが見え始めたA東京は、アウトサイドの精度が落ち始めるが、栃木のシュートがリムに嫌われたことに救われ、前半は41-39と2点をリードしての折り返しとなった。

 A東京は、後半に入るとローポストに入ったロシターを中心にオフェンスを組み立てる栃木のオフェンスに苦戦を強いられる。チーム唯一のビッグマンである竹内はファウルのリスクもあってか、ゴール下で積極的なディフェンスを仕掛けられず、ガード陣が下がってロシターを挟みこみプレッシャーを与えるもうまくいかず。第3クォーター残り3分41秒、竹内公輔にレイアップを決められ48-49と逆転を許してしまう。A東京は外のシュートが外れ始めると、ディアンテ・ギャレットが強引なカットインを連発。連戦の疲れからから、普段は考えられないようなフィンガーロールをこぼすなど、思うように得点が伸びず、前半とは一転して耐える時間帯が続いた。

 しかしA東京は、高さで上回る栃木に完全にゴール下を制圧されるものの、粘りに粘り大接戦へと持ちこむ。第4クォーター残り45秒、日本代表を含め連戦続きで疲労困憊の田中が流れるようなカットインから得点を挙げ、74-72とついに逆転。続く栃木の攻撃では、ゴール下の密集の中、誰よりも高く手を伸ばしディフェンスリバウンドをもぎ取ったのも田中だった。このボールを運ぶ際にファウルを受け、2本のフリースローを落ち着いて決めて76-72。A東京が勝利を手中に収めたと誰もが思った最後にドラマが待ち受ける。

 残り24秒、栃木の古川孝敏にバンクショットをねじこまれるが、その直後に田臥がファウルで時間を止めに行き、菊池祥平がフリースローを得る。しかし菊池は、この2ショットを2本とも外してしまう。ジェフ・ギブスにディフェンスリバウンドを拾われて、残り17秒で攻撃権が栃木に渡る。そして残り0.6秒。「コールされたプレーではなかったが、田臥と練習の最後にブザービーターでショットを打つ練習を何度もしている」と試合後に話したロシターにワイドオープンからの3ポイントを決められ万事休す。76-77と再逆転を許し、白熱の首位決戦を落とすこととなった。

 栃木のトーマス・ウィスマンヘッドコーチ、殊勲の一撃を見舞ったロシターがともに「彼らこそ勝者に値した」と語ったとおり、A東京は闘志溢れるプレーで会場を魅了した。伊藤拓摩HCは「今シーズンで一番の素晴らしい試合だった」と語る一方で、「良いゲームだったことは間違いないが、栃木に勝てるほど良いゲームではなかった」と冷静に分析する。外国籍選手を欠きながら戦った選手たちの奮闘を称えつつも、成長を続けるチームに対して、さらなる期待を口にした。

文=村上成

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