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「カルト村」で生まれた私は、19歳で村を出た。清水富美加さんに今、思うこと

2/24(金) 11:59配信

BuzzFeed Japan

「カルト村」で生まれ育った少女は、19歳で村を出た――。

「さよなら、カルト村。」(文藝春秋、2017年1月発売)は、「所有のない社会」を目指すある集落が舞台。

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生まれてから19歳までをこの村の中で過ごした著者の高田かやさんが自身の半生を描いています。前作「カルト村で生まれました。」に続くシリーズ2作目です。

子どもは親元から離れて生活し、朝早くから農作業や掃除などの労働で汗を流します。時には、学校を休むことも。

体罰や食事抜きは当たり前、親戚や友人からの手紙は検閲されて届き、テレビやマンガは禁止――単行本の帯にある通り「平成とは思えない」生活に驚きます。

とはいえ、決して悲壮感があるわけではなく、あくまで淡々と思い出をつづっているのが印象的。同年代の子どもたちと寝食をともにし、集団生活を送る様子は、合宿のようで楽しそうでもあります。

だからこそ、時たま出てくる「マインドコントロール」の気配にドキッとします。子どもたちの世話をする「世話係」の逆鱗に触れると、見せしめのように閉じ込められたり、暴力を受けたり。

直接何かを教え込むわけでなくとも、「大人が望む正しいこと」を考え、語るように少しずつ近づけられているようにも見えます。生まれた時から村のルールで生きている高田さんにとっては当たり前に語る日々の中に、小さな「えっそれ大丈夫なの?」が見え隠れするのです。

高田さんは19歳で「村を出る」ことを選びます。育ってくる中で「私は村で暮らしていくんだ」と自然に考えてきた彼女が、新しい道を選んだ理由は――。

BuzzFeed Newsは、育った環境への思い、「村を出る」決断を選ぶまでを高田さんに聞きました。

――あえて「カルト村」という表記をしていますが、それはどのような意図で、どんな意味を込めているのでしょうか。

「カルト村」は、編集者の方が名付け親です。語呂的にどうなんだろうと思っていましたが、特に語呂を気にする読者の方はいなかったようで安心しました(笑)。

村にいたとき、一般社会からは「カルト」と思われていたのは知っていて、「農業法人だから、カルト宗教じゃないのに……」と思っていました。村を出て一般社会で暮らし始めてからは、「確かに宗教法人ではないけれど、外から見るとカルトと言える部分もあるよなぁ」と思うようにもなりました。

これまでも「村」と「一般社会」は、「お互いに思っていることが平行線だな」と感じることがあったのですが、「カルト村」という呼び方は、村と一般社会の両方を皮肉る意味合いがあるようにも感じられるので、「このタイトルで出版したら、両方から反感を買うんだろうなぁ」とは想像していました。実際に出版してから、村の人から怒られたり、攻撃されたりなんてことはなかったのですが。

――ご両親が村で出会い、生まれた時から村で育ってきたとつづられています。ご自身は「2世」であることにどんな風に考えていますか。

自分で「2世」だと思ったことはなかったのですが、自らの意思で村に入った親が1世で、村で生まれた私は「2世」ってことなんですかね?

村で生まれたことについては、単なる事実だと捉えています。村がなければ、九州出身の父と信州出身の母が出会って自分が生まれるという確率も低そうですし、村がなければ私はこの世にいなかっただろうと思っています。偶然生まれたのが村で、偶然2世だっただけ……という感じですね。

――「村」で育ってよかったことや得たもの、そして、逆に後悔や取り戻したいことがあれば教えてください。

これは、よくされる質問なんですが、答えるのが難しいです。

今、私が得ているものは、村にいたから得られたものなのか? 一般社会で暮らしたら得られなかったものなのか?

人生が並行して2つあって、村と一般の両方での子供時代を経験できたら「村のここが良かった、反対にここは良くなかった」と言えると思うのですが、どちらか片方しか経験していない状態で、いったい何を基準に判断を下せばよいのだろうかというのが正直な気持ちです。

同じ理由で、もし村にいなかったら「後悔すること」もなかったか……というと断定はできません。

――「村」から「一般」に出てきた中で、周囲の目や言葉で印象的だったものはありますか。

ある程度は想像していたので、「村にいた」とバレた時に、自分を見る人の目が変わるのは、「そんなもんだろう」と思っていましたが、何をやってもどんなに仲良くなっても、いざ村にいたことがバレた場合、相手の態度が一見何も変わらなくても、それ以降は「村にいた」という薄紙を通して見られている気がしてしまい、私のほうが落ち着かなくなりました。

それから、仕事の面接で、「村の子ならよく働くだろう」と何箇所かで言われましたが、いったいどんな報道がされてたんですかね?(笑)

そう言われたことで、自分がここで適当な働き方をしたら、今度は「村にいた子はみんな真面目に働かない」とレッテルを貼られるんだろうなぁと妙なプレッシャーを感じていました。「私個人」でなく「村の子」として、一括りのイメージで見られる感覚が印象的でした。

――「ここは私のいる場所じゃない 少なくとも私にとって理想社会ではない」と気づくシーンが衝撃的でした。ご自身がそんな風に外に目を向けられた理由はなんだと思いますか?

村人はどうか知りませんが、私が見た感じだと、村にいた子どもたちはそれぞれ価値観の違いや個性を持っていました。

私の場合は、仲の良い子が一人もいなかったことが大きかったと思います。大勢での暮らしですので、便宜上まんべんなく仲良くはしていましたが、何でも話せる心を許せる相手がたまたまいなかったのです。

ちょっとした不安や心配事も、相談したり意見を聴いたりしようと思う相手がおらず、その結果、同調や共感もできず、自分一人で考えたことを実行するしかありませんでした。

周囲から「個性的で変わってる」と言われ、私も「どうやら自分の考え方や受け取り方は、他の子たちとは違うようだ」と気付きましたが、何を言われようと「私の何を知っているんだ、私は私だ」と気にしないようにしていました。大勢で暮らしていてもずっと孤独だったことが、村を出るときに一人だけ違う考え方になった理由だと思っています。

――広く宗教というものに対して、ご自身はどう捉えていますか。

何かを信じられる人はなんて幸せなんだろうと思います。何かあった時に、すがれる対象があるというのはきっとものすごく心強いんだろうなと羨ましいです。

――今、世間では清水富美加さんの出家騒動が話題になっています。常に側に「思想」があったという意味では、高田さんの育った環境と近しいところもあるかもしれません。一連の報道を、どんな風にご覧になっているでしょうか。

本を読んでいるほうが好きで、ほとんどテレビを見ないのですが、夫のふさおさんが、彼女の出ていたドラマ「家政夫のミタゾノ」を見ていたので、ギリギリ清水富美加さんはわかります!(笑)

でもテレビを通して知っているだけで、実際の彼女に会ったことも話したこともないので、特に何も思わないです。

大人が、自分で何かを判断したのなら、それで良いのではないかと思います。
何がどう転ぶか分からないから、恐れずに自分で判断してどんどん進んでいくしかないと私は思います。

村にいたので「元・村の子」と一括りにされるけれど、村にいた子も一人一人みんな違うので、宗教2世の人も一人一人みんな事情も性格も人生の目標も違うだろうから大きなものでまとめて判断しようとしないで、その子自身はどうなのかを親身に考えてくれる人が一人でもその子の身近にいてくれることを願います。

最終更新:2/24(金) 11:59
BuzzFeed Japan