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極めて危機的状況の東芝、救いは「実績を出せる土壌」

2/25(土) 10:17配信

ZUU online

日本を代表する家電メーカー、シャープと東芝(白物家電事業を担う東芝ライフスタイル)が昨年、外資系企業の傘下に入ってしまった。

戦後の日本経済を牽引してきた「オールドエコノミー」の代表だけに、国民に与えたショックは大きい。さらに、東芝はここに来て決算発表を1ヶ月先延ばしせざるを得ない経営危機に陥っている。

かつては日の丸企業同士の統合がメインだったITと家電業界の再編は、このままアジアを巻き込んだものへと変化していくのだろうか。

■東芝の子会社とシャープが海外傘下に

長寿アニメ番組「サザエさん」のスポンサーとして知られ、白熱電球や電気冷蔵庫、電気洗濯機、電気掃除機などかつて、白物家電の先駆者として数多くの国内第1号製品を生み出してきた東芝。その後、半導体やコンピューターなどに領域を拡大し、1985年には世界初のノートパソコンを披露した。

そんな東芝は、2015年に不正会計が発覚し、2016年3月期の決算では約4600億円の赤字を計上、企業イメージを大きく損ねた。白物家電事業を担う東芝ライフスタイルの株式80.1%を、約537億円で中国の美的集団(現・マイディアグループ)に売却し、残りの19.9%を東芝が保有する新体制での運営に変わった。

一方、液晶テレビの雄・シャープはテレビCMで吉永小百合に「目のつけどころがシャープでしょ」と言わせてきた。日本の携帯情報端末の草分け的な存在だった「ザウルス」や、空気清浄機のプラズマクラスターなどヒット商品も多い。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は2016年8月、3888億円でシャープの66.07%の株式を取得し、子会社化した。鴻海出身の新社長が矢継ぎ早に繰り出す施策により、株価はこの半年で着実に上昇してきている。米国での液晶工場新設を表明したり、2016年10~12月期の黒字化を発表したりするなど、業績は持ち直している。

富士通は2016年10月、レノボとPC事業での提携を検討していることを発表した。国内パソコン市場がスマートフォンに押されて縮小し、販売不振が続いており、富士通ブランドを残したままレノボ傘下で再建を進めるとの見方もある。同年2月にパソコン事業を独立させ、「富士通クライアントコンピューティング」として分社化したが、2015年度には100億円以上の赤字を計上した。

■オールドエコノミーの弱み

東芝とシャープに限って論じれば、両者に共通した経営体質として、「時代の変化に追いつけなかった」との指摘がある。

「東芝の白物家電事業には、主要分野でトップシェアの製品がないばかりか、最先端の独自技術を前面に打ち出したモノづくりの訴求に遅れた点は否めない。収益性が悪化するなかで、大幅な事業再編を行った結果が、ここ数年の後追い型の製品づくりにつながったといえる」。2017年1月10日の日経トレンディネットのコラムでフリージャーナリストの大河原克行氏はいう。

同氏はシャープについても「経営悪化の原因は、液晶一本足打法とも呼ばれた液晶事業への傾注だ。(略)白物家電事業を、液晶に続く、2本目の柱、3本目の柱に育て上げることができなかったことは、経営側の大きな責任」と指摘する。

いずれも、過去の成功体験にとらわれすぎた「オールドエコノミー」の弱点といえよう。

■救いは実績を出せる土壌

ここにきて、東芝はさらなる危機に直面している。米国原子力発電子会社ウエスチングハウスによる米原子力サービス会社の買収をめぐり、新たな不適切行為の疑いが出てきたため、2月14日に発表するはずだった2016年4~12月期決算の確定を1ヶ月ほど延期した。

同期の決算見通しは4999億円の最終赤字、「のれん」の減損損失は7125億円に上るという。2017年3月期の見通しでは、このままでは株主資本がマイナス1500億円となる。極めて危機的状況で、半導体事業の株式を売却し、資本増強を行うはめになった。

ただひとつの救いは、不適切会計処理問題で歴代社長3人が退任し、刑事告発問題に発展しているような状況にもかかわらず、2016年4~9月を見ると業績が急回復していることだ。

これは中国のスマートフォンがメモリ容量を増やしたことなどからスマホ向け半導体メモリの需要が急増、追い風となったことなどが背景にある。売上高は前年同期比で4.3%減の2兆5789億円だったが、営業損益は891億円の赤字から967億円の黒字に転じ、最終利益も372億円から1153億円に回復している。

危機からは立ち直りつつあり、傷ついたブランドイメージは回復しつつあったといえる。

また、いずれも外資傘下にありながら、自社ブランドを維持したままで生産を続けようとしていることも頼もしく感じる。3社とも過去に確固たる実績があるということは、ヒット商品を生み出す土壌が存在しているということだ。優秀な技術者の流出を防ぎ、優れた商品を継続的に投入するという当たり前のことを当たり前にやる。

そうすれば、少なくとも「なんか外国の会社にのみ込まれたらしいけど、東芝の製品を買っても大丈夫かな」と一般消費者が不安になることもないのではなかろうか。(フリーライター 飛鳥一咲)

【訂正とお詫び】
本記事中、「富士通PC事業がレノボに買収された」との記載に誤りがありましたので、一部文章を修正しております。これらをご報告するとともに、誤りの訂正につきまして関係各位にお詫び申し上げます。

最終更新:2/28(火) 20:45
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