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リストラに遭い一念発起…。20年間の研究の末、すごい技術を生み出した73歳の発明家

2/26(日) 11:00配信

BuzzFeed Japan

愛媛に生まれた工作好きの少年は、ものづくりへの情熱を絶やさず、やがて発明家になった。【BuzzFeed Japan / 井指啓吾】

川本栄一さん、73歳。20年以上の昔、義父母の介護をしていた川本さんは、オムツから漏れた排泄物でたたみが汚れてしまうことに悩んでいた。

雑巾などで拭き取っても、元のきれいな状態には戻らなかったからだ。その経験が「発明」のきっかけになった。50代でリストラに遭い、一念発起した。

「思いがあったものを作ってみたいと思った。10か月の失業保険中は再就職をしないと、妻に了解をもらってね」

退職金を使い、水を吹きつけながら吸い取るノズルの機構や、空気と汚水を分離する特殊なファンなどの研究開発を始めた。試作機を開発後、「川本技術研究所」を設立。といっても、工房は自宅の一室だ。

糸のこぎり、ボール盤、サンドペーパー、陶芸のろくろ。

「もう、ごっちゃ。いろいろな機材をそろえたが、どれも二流品。精度の高い超一流の機材はまったくない」

川本さんが研究開発を始めてから、約20年。その集大成とも言える製品が、2017年4月に発売されることが決まった。

製品名は「スイトル」。川本さんの技術をもとに、元三洋電機のメンバーが設立した家電ベンチャー・シリウスが企画した。

自動的に水を噴射しながら汚れやにおいを吸い取るもので、家庭用の掃除機に取り付けて使う。カーペットなどにコーヒーやソース、カップ麺などをこぼした時に役に立つ。

川本さんによれば、掃除機の吸引力を使って「水の噴射」と「吸い取る」を同時に実現しているため、シミをきれいに取り去れるそうだ。

「少年の心じゃないとダメですね」

川本さんは、図面を引かず、感覚と手作業で試作機を作る。手先の器用さは、子どもの頃に培った。

「私たちが若い頃は、設計図を見ながら木を削って、寸法をあわせて組み立てました。それで手先が器用になったと思います」

もちろん、プラモデルにもハマった。

「プラモデルが登場してからは、それもずいぶんと作りました。あれは組むだけだから、木の模型作りに比べれば簡単でした」

本格的に開発を始めた50代、そして今も続くチャレンジについて、川本さんは笑ってこう話した。

「少年の心じゃないとダメですね。年をとって体は痛くなったりしますが、気持ち的には、少年時代にプラモデルを作った気持ち。それがないと、ものを作れないですよね」

そんな川本さんを、シリウスの亀井隆平社長はこう評する。

「なにかを語る時に目が爛々と輝く、本当にピュアな心がある方。こういう人こそが日本の宝だと思います」

川本さんはすでに、新たな製品の試作機を開発中だ。

次は、口の中の汚れをとる口腔洗浄器。スイトルと同じく、「水と空気を制御すること」で実現する製品となる。

「試作機をもっと改良して、スマートな見た目にしたい」

目を輝かせながらそう語る川本さんは、確かに、夢を追いかける少年のようだった。

最終更新:2/26(日) 11:00
BuzzFeed Japan