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アニソンシンガーTRUE「葛藤の分だけ大きな光が」新作は大人のおとぎ話/インタビュー

2/26(日) 9:30配信

MusicVoice

 アニソンシンガーのTUREが2月22日に、2ndアルバム『Around the TRUE』をリリースする。2014年にシングル「UNISONIA」でデビュー。『響け!ユーフォニアム』など数多くのアニメテーマソングを歌うほか、「唐沢美帆」名義で作詞家として、ワルキューレ(アニメ『マクロスデルタ』)やAIKATSU☆STARS(アニメ『アイカツ!』)など多くの声優やアーティストの楽曲に参加している。「自分が歩んできた軌跡をめぐる1枚」と話すこのアルバムは、ジャズやスカ、エレクトロなど多彩なサウンドに支えられながら、アニソンシンガーとして、作詞家として、苦悩しながらも未来に希望を馳せる、TRUEという一人の人生が描き出されたものになった。楽曲、そして言葉に込めた想いとは。

【写真】インタビューカット

物作りの葛藤をそのまま歌詞に反映

――『Around the TRUE』というタイトルは、どんな気持ちでつけたんですか?

 今まで自分が歩いてきた軌跡や、自分が辿ってきた音楽をめぐる1枚になればいいなと。聴いてくださる皆さんには、私と共に音楽の旅をしてもらえたらと思ってつけました。作品に自分自身を投影することで一つのジャンルにこだわらず、幅広いジャンルを歌えるアニソンシンガーだからこそ作れるアルバムになったと思います。

――実際にいろんなジャンルが収録されていて、1曲目「Rainbow The Daydream」は、なんとミュージカル調!

 私は突き抜けて前向きな人間なので、そういう自分を許容してくれる広い音楽はどんなものだろう? と考えて。それで、ミュージカル感やテーマパーク感、おとぎ話のような世界観を考えました。

――曲の後半から突然ミュージカル調になりますが、主人公の女の子が音楽に目覚めて駆けだしていくような雰囲気で。それは、きっとTRUEさん自身のことですよね?

 そうなんです。私は子どもの頃、自分の声にコンプレックスがあったので、言葉で自分の気持ちを表現するのが得意ではなくて。嫌なことがあったときは、ノートに書いて気持ちを消化していたんです。だからこそ、中学生で初めてマイクを持ったとき、私が歌うことで喜んでくれる人がいることを知り、すごく目の前の世界が開けました。おっしゃる通り、まさしく私の経験を歌っています。

――それまでモノクロだった世界が、色づき始める瞬間だったんですね。

 はい。人前で歌うことが楽しいとか、自分というものを表現するのがこんなにも楽しいんだと思えるようになったのは、そのときでした。最初に苦手意識を持ってしまうと、なかなかやろうとしないですよね。それは大人になればなるほどそうで。でも、そこで一歩を踏み出すことで、新しい景色が見えるんです!

――今作には、アニメ『響け!ユーフォニアム』の楽曲で、ブラスバンドの演奏をバックに歌った「DREAM SOLISTER(Movie Ver.)」を始め、ジャズやスカなどのホーンの入った曲が多く、ストリングスの曲もあったりと、生楽器がたくさん使われている印象でした。そこは意識してのことですか?

 すごく意識しました。今の私は、聴いてくださる皆さんの中では、『響け!ユーフォニアム』のオープニングテーマを歌っている印象が強いと思います。自分が歩んでいく道の一つの答えを提示してくれた作品だと思うし、先に進むために背中を押してくれたと思っています。そうした『響け!ユーフォニアム』に対する感謝の気持ちも強くあったので、こういう生楽器を採り入れる作品になったのは、すごく自然な流れだったと思います。

――新曲にはTRUEさんの気持ちを歌われたものが多く、跳ねたビート感で圧倒的なハイトーンを聴かせるナンバー「グレースケール」もそうですね。

 私が歌詞を制作するときの、物作りの葛藤をそのまま歌詞に反映しました。私は自分自身と向き合って歌詞を書くとき、毎回スケッチを描く感覚で、思った言葉をバァ~ッと手書きしていくんです。でも、自分と向き合って言葉にしていくと、どうしても理性が働いてしまって、こう見られたいとか、こうありたいとか、本来の自分が伝えたいことではないものに塗り固められていく感じがあって。本当に伝えたいことは真っ白なのに、それがどんどん黒くなってしまう感覚と言うか。それで白から徐々に黒へと変わっていくという意味で、「グレースケール」と名づけました。

――でも最終的に歌詞として完成されるものは、黒のままではなく実にカラフルですよね。

 そう。だからそうなるまで、何度でも書き直すんです。やっているうちに、最終的に、また最初に書いた言葉に戻ったりもするし。理想とする自分の言葉と、もっと自分の奥底に眠っている言葉はこんなものじゃないという、2つの気持ちの間で葛藤しながら、仕上げていきます。普段は完成されたキラキラしたものしかお聴かせしていないので、たまにはこういう曲があってもいいかな?って。きっと作詞家だからこそ、書けた歌詞だと思いますね。

――言葉に対する執着はさすが作詞家だけありますね。

 通っていた学校も変わっていて、作文をよく書かせる学校だったんです。宿題も文章を書くようなレポート形式のものが多くて。それで、日々思ったことや人に言えないことなど、全部ノートに書くのが習慣になって。言葉や文章を書く癖がついていたと思います。

 実はMCも、大まかに書いてまとめるようにしています。それプラス、お客さんの反応を見ながらその場で考える部分もありますけど。伝えたい大事な部分は、書いて頭に入れておくようにします。

――書くことが創作活動のベースになっているんですね。

 そうですね。そういう意味で「グレースケール」は、ちょっと変わった視点からの曲になったと思います。

■かわいいだけではない、すてきな大人のおとぎ話

――今作は、1曲目の「Rainbow The Daydream」や「TRUE COLORS」もあったり、色にまつわる曲名が多いようですけど、色にもこだわった?

 はい。曲ごとに違った色を付けられるような、構成にしたいと思っていました。ブックレットも、ページをめくるごとに新しい色が付いているみたいなイメージで作っています。大人のおとぎ話というテーマがあって、そこにデザイナーさんからのアイデアで、写真の上に手描きのイラストを入れていただいて。かわいいだけではない、すてきな大人のおとぎ話が表現できたと思います。

――その大人のおとぎ話って?

 子どものころは、キラキラとした世界に漠然と憧れたと思うんです。でも私は大人なので、汚いものや黒いもの、目を背けてしまうようなものもたくさん知ってしまっている。だから、そういうものも胸に抱きながら、子どものころのキラキラとした夢をもう一度見られるようなものが、大人のおとぎ話じゃないかなって。いろいろ乗り越えた上で、その先に見られる夢と言うか。

――その流れでいくと、エレクトロサウンドの「鍵のない鳥籠」は、大人のおとぎ話が表現されている。大人だからこその視点やシニカルさもあって。

 私は作詞家として、自分で歌うことを一度手放した時期があって。でも音楽に携わることが諦めきれず、またいつかマイクを手に取りたいと思いながら、どんどん内へ籠もって自分自身とばかり言葉を交わしていました。だけどもう一回歌いたいと、光に向かって手を伸ばしている自分も同時にいて。この小さい部屋から出て、もう一度大きな場所へ行きたいと思っていました。

――でもその鳥籠に鍵はかかってないんですよね?

 そうです。出ようと思えばいつでも出られたんです。でも、出ないことを選んだのは、私自身だったんですよね。TRUEとしてデビューしたときによく、飛ぶための翼をもらったと表現していたのですが、歌詞にも羽が出てくるし、ジャケット写真にも羽の絵が散りばめられています。TRUEとして飛び立つ前の私が、この歌詞の中にいます。

――歌詞の内容に絡めて言うと、あの頃のTRUEさんが見て、恥ずかしい大人にはなっていないですね。

 そうなっているために、頑張らないといけないですね。大人になると、諦めるのが上手くなるし、言い訳も上手になる。逃げることが容易くなってしまうのは、私は嫌だなと思っているので。

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最終更新:2/26(日) 9:30
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