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大波乱でもLOVE&HOPE!第89回アカデミー賞は愛と共感に溢れていた

2/28(火) 11:50配信

dmenu映画

昨年秋から繰り広げられてきた映画界の賞レース終着点となる第89回アカデミー賞。作品賞は、大本命だった『ラ・ラ・ランド』をゴール寸前で抜き去った『ムーンライト』に贈られた。フロリダの貧困地域を舞台に、麻薬常習のシングルマザーに育てられたアフリカ系アメリカ人少年が、同性愛と自身の生き方に目覚めていく姿を描いた作品。作品賞発表においては、前代未聞の大トラブルがあったものの、それも含めて様々な場面で、LOVEとHOPEが感じられる授賞式だった。そのこころを振り返ってみたい。

アカデミー賞女優たちの大胆ドレス画像

「ダブル受賞じゃダメ?」作品賞発表トラブル

1967年の名作『俺たちに明日はない』のコンビであるウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイがプレゼンターとして登場した作品賞発表の瞬間。「アカデミー賞の行方は……『ラ・ラ・ランド』!」との声に、クルーもキャストも登壇し、喜びのスピーチが行われたものの、途中で真の受賞作品が『ムーンライト』だったことが発覚。ステージも客席も困惑するなか、『ラ・ラ・ランド』陣がステージを下り、『ムーンライト』陣が登壇するという前代未聞の受賞劇となった。誤った封筒を渡されたことを弁解するベイティの姿は気の毒だったが、「ダブル受賞じゃダメなの? もっとオスカー像を量産して両者に渡しちゃおうよ」と場を取り直そうとする司会のジミー・キンメルの言葉は、多くの人々の心を代弁していただろう。作品のトーンは大きく異なるものの、ともに愛と希望を描いた珠玉の作品。両作のフィルムメイカーたちが互いを讃え合う姿は、同夜のクライマックスにふさわしい“脚本なしの”貴重な瞬間だったのではないか。

多様性と若さを感じさせる俳優・監督部門の受賞結果

今年のオスカーの最大の関心ごととなっていたのが、過去2年連続で俳優部門20枠を白人俳優が占めたことによる「白すぎるオスカー」問題。ノミネーション発表の時点で、4部門すべてにアフリカ系俳優が名を連ね、変革の兆しが見られていたが、助演男優賞をマハーシャラ・アリ(『ムーンライト』)、助演女優賞をヴァイオラ・デイヴィス(『フェンス(原題)/Fences』)が受賞したことは、多様性へのさらなる1歩といえるだろう。一方、主演男優賞は、最有力視されていたケイシー・アフレック(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)が大先輩と仰ぐデンゼル・ワシントンを抑えて受賞。主演女優賞に輝いたエマ・ストーン(『ラ・ラ・ランド』)は、ともにノミネートされたメリル・ストリープやイザベル・ユペールら名女優たちに敬意を表しながら、「私は未熟者で、まだ学ぶことがたくさんありますが、このオスカー像が今後の成長に向けたシンボルになってくれると思います」と謙虚に語った。授賞式の目玉だけあり、重く深いメッセージや主張が語られることも多い同部門の受賞スピーチだが、ケイシーとストーンが言葉に詰まって涙を浮かべる様子は純粋で、清々しい感動を与えてくれた。さらに『ラ・ラ・ランド』で監督賞を受賞したデイミアン・チャゼルは32歳と若く、今後のハリウッドが明るく見えるのだ。

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最終更新:2/28(火) 11:50
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