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獣医師不足 深刻 防疫業務 増すばかり 家畜伝染病を警戒

日本農業新聞 2/28(火) 7:00配信

 鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が世界的に多発し国内発生を防ぐ防疫強化が不可欠となる中、防疫指導を担う農業分野の公務員獣医師が農村部で不足の状況にある。2010年の宮崎県での口蹄(こうてい)疫発生などを機に、国は11年に畜産農家の飼養衛生管理基準を強化。公務員獣医師の役割が強化された上、特に今冬は鳥インフルの国内発生もあり防疫業務は増すばかり。各地で獣医師の確保が急務となっている。

現場にしわ寄せ 巡回指導、診察、検査

 2月の大雪の日、高知県の山間部にある大川村の養鶏農場「むらびと本舗」を、県中央家畜保健衛生所嶺北支所の野村泰弘所長が訪れた。この日は家畜伝染病予防法(家伝法)に基づく巡回指導。山道を車で1時間かけて訪問した。

 農場の日々の飼養管理や異常の有無などを聞き取る中で、この農場の疾病対策の課題が浮かび上がった。野村所長は「訪問は大変だが、課題が見つかり来てよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 公務員獣医師に求められる防疫業務は、飼養衛生管理基準の強化を機に「がらりと変わった」(県畜産振興課)。牛、豚、鶏の全農家を巡回し、畜舎への入り方から車両の消毒、家畜の飲み水の調達方法、適正な飼養密度、防鳥ネットの設置など20を超す項目を確認する。徹底できるまで何度も通うこともあるという。限られた獣医師で広大な県内をカバーするのは負担が大きいのが実情だ。

 野村所長は「巡回指導の他、家畜の診察や法定検査など業務は多忙。畜産が盛んな地域では、さらに激務だろう」と話す。

 今冬、国内では現在までに7道県の10農場で鳥インフルが発生し、約140万羽を殺処分した。こうした有事の対応を主導するのも公務員獣医師だ。昨年11、12月と2農場で発生した青森県では、県の畜産担当者が総動員で殺処分や埋却、消毒、検査など封じ込めに奔走した。同県畜産課の牧野仁課長代理は「恒常的に人手不足。しかし鳥インフルエンザ発生で、地域の畜産を守るのは獣医師だと実感した」と使命をかみ締める。

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最終更新:2/28(火) 7:00

日本農業新聞