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「DAZNは信頼できるパートナー」 配信不具合を受け、村井チェアマンがメディア対応=Jリーグ

スポーツナビ 3/2(木) 18:59配信

 今季からJリーグ中継のインターネット動画配信を行うDAZN(ダ・ゾーン)は3月2日、先月26日に発生した配信の不具合に関して、利用者への謝罪と原因の説明を行う会見を都内で開催した。

 DAZNのジェームズ・ラシュトンCEOの会見後、今回の事故を受けてJリーグの村井満チェアマンが記者の囲み取材に応じた。村井チェアマンは、こうした問題が起こった際には「すべて隠すことなく伝えていく」という姿勢をあらためて示した上で、DAZNが「信頼できるパートナー」であることを強調した。

 以下、村井チェアマンの一問一答。

──「DAZN元年」の開幕戦で、このような事故が起こったことについて、Jリーグとしての認識は?

 スポーツはライブで見るのが一番感動的だということに基づいて、「いつでも」「どこでも」「何度でも」見れるというのが、私たちが本来主張してきたサービスでした。これが、1番最初の節でつまずいてしまった。多くの人が期待していたと思います。Jリーグだから、DAZNだからでなく、それも含めて統括する立場のJリーグとしては、本当に申し訳なかったと思っています。

 私も細かいテクニカルなところを理解するのに時間がかかってしまったので、すぐに皆さまに適切な情報開示ができなかったことは申し訳なかったと思っています。この数日、日曜から中3日間、JリーグとDAZNが共に情報を共有しながら、問題の解析をシェアしてきたつもりです。そのあたりのコミュニケーションが、適時開示できるように(しなければと)、今回あらためて思いました。

──DAZNは、会場に来られないファンにJリーグの試合を届けるための大事なパートナーだが、信頼性という部分ではどうか?

 今回の問題が発生した直後に、この日本社会においてはすべて隠すことなく伝えていこうということを(DAZNと)共有いたしました。それがたとえ難しいテクニカルな問題でも、逃げずにしっかり説明しようと。彼(ラシュトンCEO)はそれが重要なことだと理解してくれました。そういう意味では、この事象が起こった後も信頼できるパートナーだと思っています。

 また、日本とロンドンという距離的に離れたところではありますが、時差がある中、ほぼ不眠不休でロンドンサイドのエンジニアとコミュニケーションを取ってくれました。そういった姿勢を見ても、中途半端な姿勢ではなく、本気でJリーグを良くしていくパートナーであると再認識した次第です。トラブルからスタートしましたが、次に向けてさまざまなコミュニケーションを取っていこうと、あらためてパートナーとして結束しようという状況です。

──テレビ中継ではなくネット配信ということに関して。

 部屋の外に出たときや、移動中など、いつでもどこでもということになりますと、ストリーミングサービスやネット配信というものが、非常に重要なツールとなるわけです。そういう意味では、今後のライブスポーツの楽しみ方のひとつの形態として、大切に育てていきたいと思います。

 一方でJリーグとしては、今回は有料放送カテゴリーをDAZNとしましたけれど、無料の地上波放送は今までどおり続けていきますし、リーグ戦はDAZNですがルヴァンカップに関してはスカパー!とフジテレビに協力していただきますので、さまざまなチャンネルでお楽しみいただけるように努力していくつもりです。非常に将来性のある、ストリーミングサービスとして、大事に育てていきたいと思います。

──今回のトラブルや画質の問題などで契約そのものが見直される心配はないか?

 画質の問題に関するご質問がありましたが、われわれJリーグ・DAZNサイドで改善すべきこと、視聴環境や社会的インフラを整えていかなければならないこと。さまざまな要素の組み合わせだと思いますが、いわゆるインターネットを介した動画を視聴するという習慣はどんどん増えていくだろうし、深まっていくだろうというふうに考えています。画質改善については、お互いに全力を上げていこうということです。

 それから今回、10年にわたる契約において、われわれ側の認識ではありますがジェームズとは将来に向けて投資して、もっともっとレベルを上げていこうと日夜議論しています。ですので、何らそこに問題はないと認識しています。加入数に関しては、詳細な数値はわれわれの知るところではないので、何人増加したのかは分からないですが、この1週間、テレビCMがあったり、オウンドメディアでPRを重ねている中では、彼らは非常に手応えを感じてくれていました。やはり仮説のとおり、サッカーを見る方は多くのスポーツを楽しんでいる。単純な加入数だけではなく、さまざまなスポーツを楽しんでいる方が非常に多い。日本市場に対する仮説どおりだったというフィードバックはいただいています。

 今回、こういうことがあって相当多くの方ががっかりされて、もう(契約を)続けないという方もいらっしゃるかもしれませんが、今週末にまでわれわれがどこまでリカバリーできるか。また不測の事態の可能性もないわけではありませんが、ちゃんとファン・サポーターに向かっていけるか。そのあたりが最終的には加入される方への信頼感を築くことになると思いますので、できる範囲で対処していきたいと思います。

 もちろん長期間にわたって、赤字を抱えながらJリーグを育て、顧客を増やし、リターンを回収するという10年スパンの投資モデルです。この間の短期的な事象によって、それが変質するものではないと思っています。

──今後、不測の事態に対してどのような考えがあるのか?

 想定し得るバックアップはDAZNも考えていて、日本のスタジアムからこちらに届くところも2系統で、ロンドンに送る際は香港経由とアメリカ経由で、2回線を確保していたり、いわゆる物理的なクラッシュに備えてデータをミラーリングしている。(今回は)データ上の破損だったのでミラーリングが効かなかったのですが、外部の物理的な天変地異など、さまざまな攻撃に対するバックアップも備えてありました。

 今回、そういう意味では外側にさらにもうひとつ(回線を)設けるという話がありました。個別のパッケージングをさらに細分化して、その中を増やしていくことを想定されているので、ある意味では想定したらキリがないんですけれど、一歩一歩そういった部分でスピーディーに手を打たれているので安心しています。

 とはいえ、今後何が起こるかは分かりません。今日は「Jリーグのスタジアムで何も起こっていない」と申し上げましたが、この間の熊本震災のように物理的なスタジアムからDAZNへのデータの受け渡しはバックアップ2系統取っていましたが、これを他山の石として日本側もやっていかなければならない。何よりも、事象が起こった時に言い訳したり隠したりせず、全件はき出して改修を行っていくという関係性を何よりも大事にしたいと思っています。

──サポーターから苦情があったのか。それを受けてどう思うか?

 直接アクションを起こされている方もいるとは思いますが、「何だよ」と思っているサイレントマジョリティーのほうが圧倒的に多いと思いますね。そういう意味では本当に申し訳ないことをしたなと思っています。私のところにも多くの方々からお叱りをいただきましたし、いろんな形でリーグが持っている(ファンの)声を寄せていただくところにも、厳しいご意見をいただきました。今、私はそれに目を通していますけれど、まさに(今のように)メディアの皆さんに事態をお伝えするとか、週末に向けて万全を期していくとか、こういったところがわれわれができる唯一のことなのかなと思っています。

──コンテンツ作りとしては、試合の中継はJリーグが作って、配信はDAZNとなっているが、こういうことがあってもその形を続けていくのか。あるいはJリーグから何か要望しようと考えているのか。

 オウンドメディアで緊急避難的にわれわれも動画配信をサポートしたり、補助的にサポートすることはあるかもしれません。あくまでJリーグだけでなく、国内でもバレーボールだったりラグビーだったり、野球もあります。Jが何か自己的に都合が良いようにするのではなく、日本の多くのスポーツ、世界中のスポーツがロンドンのクラウドに入っているので、今のDAZNの配信の仕組みというものは、僕はすごく価値のあるものだと思っています。それを使いつつ、何か課題があったときには連携して、コミュニケーションを取ってバックアップ体制を整えていく。このあたりが、われわれの打てる手かなと思っています。

(取材・文/宇都宮徹壱)

最終更新:3/2(木) 19:27

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