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プロアマ混合の“登竜門リーグ”、B1とB2に次ぐ3部リーグ「B3」の全貌を専務理事が明かす

3/2(木) 20:38配信

バスケットボールキング

Bリーグ(B1、B2)の正式名称は「公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」であり、B3は「一般社団法人ジャパン・バスケットボール・リーグ」であることをご存知だろうか? 華々しい開幕戦で世間の注目を集めたBリーグとの違いは、ずばり“プロフェッショナル”であるかどうかだ。

B3は運営会社がプロ形態の5クラブ(埼玉ブロンコス、東京サンレーヴス、東京八王子トレインズ、金沢武士団、ライジングゼファーフクオカ)と企業形態の4チーム(大塚商会アルファーズ、東京海上日動ビッグブルー、アイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城、豊田合成スコーピオンズ)が加盟。「レギュラーシーズン」と呼ばれる9クラブによるリーグ戦に加え、これとは別に、B2リーグとの入れ替え戦の出場権を争う「ファイナルステージ」と呼ばれる6クラブ(プロ形態5チームのリーグ戦の場合「奇数」になり、試合がない節が各クラブ出てくるため、B3リーグから打診を行い、「チーム強化」の視点から、大塚商会が参戦)によるリーグ戦が行われる。最終勝ち点上位3チームが、B2リーグ参加の資格(3000人収容のアリーナを有する、常勤の専属スタッフがいる等)を満たしていれば、B2クラブとの入れ替え戦に、B3経営諮問委員会推薦されることになる。

この2ステージに加えて、6クラブには「ファーストステージ」という2回戦総当たりのリーグ戦の実施が義務付けられている。これはB3の役割と責務を明確にするものだ。レギュラーシーズンで行う試合数は1クラブあたり32試合。入れ替え戦出場を決めるファイナルステージは1クラブあたり10試合で、合計しても42試合と、B1、B2の年間60試合には届かない。Bリーグで戦うための経営と運営体制を実際に“訓練”させる意味合いもあるB3リーグは、その不足分を補う形として6クラブにファーストステージ10試合を課しているのだ。このBリーグへの“登竜門”とも言うべきB3リーグとはいかなるものなのか。吉田長寿専務理事にうかがった。

インタビュー=村上成

――いきなりですが、B3リーグの概要を教えてください。
吉田 現在、B3リーグには9クラブありますが、そのうちプロ形態が5クラブで、企業形態が4クラブです。企業形態のクラブが4つあるということがBリーグとの大きな違いです。

――プロクラブと企業クラブには、どんな違いがあるのですか?
吉田 5クラブは俗に言う「バスケットボールの専門会社」です。今のBリーグもそうですけど、プロとアマというのはあくまでも競技者のことを言っています。B1で言うとプロ選手に加えてアマチュア選手の登録人数が2名まで、B2は逆でプロ選手の登録人数が5名以上であるとか、そういう選手単位の話です。あとはクラブですね。運営会社がバスケットボールの専属会社であること。それが今、完全にバスケットボールだけの興行会社なのが5クラブということです。

――そもそも、Bリーグはどういう経緯で3部制になったのでしょうか?
吉田 経緯をお話すると、ナショナル・バスケットボールリーグ(NBL)と日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)、そしてNBLの中にナショナル・バスケットボール・デベロップメント・リーグ(NBDL)があって合計で45クラブあったんですね。Bリーグ立ちあげに際し、その45クラブを対象に振り分け審査をしました。その中でB1、B2、B3という階層が出てきたということで、B1、B2はプロクラブで、あくまでもバスケットボールを主とした会社であることを条件としました。本当はB3もそうなればいいんですけど、当時のNBDLの企業やクラブは親企業から分社化してまで専門会社化はできませんでした。「じゃあ、そのクラブを除くのか?」という話になり、経営規模や、その当時の財政状況や支援状況などの判断を含めて、3部リーグからスタートさせた方が良いという判断になりました。

――B3に参加されているクラブというのは、将来的にBリーグへの参加は可能なのでしょうか?
吉田 B2とB3は、今シーズンで言うと1チームを対象とした入れ替え戦を行います。5月のレギュラーシーズンが終わってからですね。ちょうどチャンピオンシップをやっている頃に入れ替え戦を実施する予定です。

――企業チームは対象にはならないのですか?
吉田 Bリーグとしてスタートするにあたって、クラブライセンス制度を採っています。それは、毎年B1、B2、B3の経営状況を見て、そこでやっていける基盤がちゃんとできていることを審査するもので、B1であればB1のレベルがあり、B2ならB2の条件があって、該当するリーグのライセンスを出すことになっています。今B3でも、入れ替え戦に出るにあたってBリーグの準加盟並びにライセンスを取得していないと入れ替え戦に参戦できない仕組みになっています。現在これらを申請しているのは、ライジングゼファーフクオカ、金沢武士団、埼玉ブロンコス、東京八王子トレインズの4クラブです。現在、準加盟は八王子以外の3クラブが取得済みで、今はちょうどライセンスを取得しようとしている段階です(2017年1月31日取材)。

――フクオカ、金沢、埼玉の3クラブが現状B2に上がる資格があるということですか?
吉田 その3クラブにライセンスが出るか出ないかの段階です(2017年3月1日に埼玉とフクオカがライセンスを取得。金沢は審議中)。ライセンスが出て初めて上がる資格を要するということです。上でもやっていける財政基盤や運営体制が整えられていればライセンスを発行します。そのライセンスを取得し、かつ、成績を残したチームにのみ入れ替え戦に出場する権利が与えられます。

――その他にリーグの特徴はありますか?
吉田 ちょっと変則的なところです。3部リーグも原則はBリーグの競技ルールや規定に合わせています。ただ、その中に3部独自のレギュレーションが若干あります。ゲーム数で言うと上位リーグと同じくらい確保したいのですが、企業形態とプロ形態でこなせる試合数が異なります。まずファーストステージということでプロ形態の5クラブと大塚商会アルファーズを含んだ6チームでリーグ戦を戦って、その後は全9チームで4回戦総当りのレギュラーシーズンを行います。その後、プロ形態のクラブは入れ替え戦を目指してチャレンジシーズンを戦っていきます。変則開催の一番の理由は試合数をこなすことにあります。プロクラブとして運営の基盤を作るために一定の試合数を設けたいと。そこにプロと企業形態の格差が生じているんですが。なかなか一般の方には理解しがたいかもしれません。

――なるほど、そういうことなんですね。逆に企業側からするとそれだけの試合数をこなすのは大変だということなんですか?
吉田 やはり目的が、興行をやっていくというよりも福利厚生的にやっていくという考え方を持っていたりするので、9月から5月まで毎週のように試合をやっていくのは厳しいんです。そのため、今までの10月後半くらいから3月の年度内くらいまではやっていく組み合わせにしています。どちらかというと、3部リーグの位置付けとして、リーグで競い合うというよりも、上のリーグで戦うクラブ基盤を作っていくというのがそもそもあるということです。

――率直な印象として、プロリーグの傘下でありながら、各クラブの目的が違うのは違和感があります。
吉田 確かにクラブの目的自体はそれぞれ違いますけど、リーグの目的としてはあくまでもBリーグの水準を満たしたクラブをB2に上げることです。そこは企業形態のクラブに関しても、賛同しないならダメですよと伝えています。クラブの目的は違ってもいいけど、リーグの目的に対して考えてくださいと。最初のうちは企業は企業、プロはプロという論理でいいのですが、将来的には入れ替え戦で上がっていく、もしくは上がれなくても、経営母体をしっかりさせていくという目的があります。もっと言うと、今後は成績が評価されない選手や大学に行くか悩んだ選手がそこに入って鍛えられ、上に行く流れが徐々に生まれてくればいいかなと思います。

――ただ単純にチームが強ければいいということではないんですね。
吉田 最も大事なのはクラブの運営基盤ですね。Bリーグもそうですけど、どうしても勝ちたいために良い選手と契約して、先にお金が出ていく計画を立ててしまいがちです。例えば入場者が平均3000人で計算していたのが1000人になってしまったとか、年間5億円のスポンサー予定だったのが2億円だったとか、それでお金が足りなくなると会社の経営も大変ですよね。だから、試合に勝つこと以外の部分も満たしているかどうかを判断する上で、ライセンスという形を設けています。そこが今Bリーグとして一番肝になる部分です。

――現在は9クラブですが、今後拡大していくことはあるんでしょうか?
吉田 はい、それは考えています。まだ具体的な数は決まっていませんけど、大河(正明)チェアマンは、どちらかと言うとクラブが47都道府県すべてにあることが望ましいと話されています。育成の考え方や、バスケットボールの仕組みが、その地域にクラブがあることによって活性化していくと。例えば、今のB1、B2、B3で言うと東京だけで8チームあり、偏っていることも考えないといけませんし、ないところに無理矢理作るのは正しくないと思いますし、焦らず徐々にやっていこうとしています。

――プロ形態と企業形態のチームがあってレギュレーションも不規則ですが、事務局として大変なことはありますか?
吉田 事務局よりも、やっぱりクラブは大変だと思います(笑)。プロクラブの観客はファンがメインですけど、企業クラブはファンだけでなく、関係者の動員も結構多いんですよね。アウェイまでブースターが応援に来てくれることは少ないでしょうし、集客の面では大変だと思います。また、どうしてもB1とB3の間では、人気やスポンサーの面で隔たりがありますから、そういった意味での運営などは大変だなと。

――ただ、そこを乗り越えないとB2、B1と上のリーグに行けないわけですね。
吉田 そうですね。変な意味ではないですけど、B3はB3のレベルに経営面でも落とせるので、逆に、運営のやり方をリセットできる良い機会になるのではないかとも思っています。B1、B2にはそれなりの条件があるので、一度整理してこれからのステージに入るというか。背伸びし続けて倒れてしまう前に、地に足を着けてもう一回見直すことができる機会がB3にはあると考えています。

――B3リーグならではの見どころやチームの見方などはありますか?
吉田 やっぱり選手個々がプロ、アマ関係なくがんばっているところですね。B3が決してB2よりも劣るということはなく、そこそこやれる面もあるのかなと思います。少なくとも、競技的には劣ることはないと思います。我々としても、今は無名だけど、将来はきっとすごい選手になるとか、来シーズンはB1に引きぬかれて活躍するとか、そういう選手発掘も含めたリーグにしたいと思っています。そういった意味で、東京サンレーヴスはシーズン途中に選手を入れ替えて、だんだんと自分たちの色を出しています。東京に8クラブもあって、経営母体も含めるとB1を目指すのは難しいですけど、若い選手を積極的に起用したり、地域や自分たちの特性を活かしている傾向が見られます。

――B3リーグができて、受け入れる窓口が広くなったことは大きいですね。
吉田 あとは帰化する前の帰化申請中の選手、留学生選手も、B3は受け入れる制度を採り入れています。高校で留学して大学まで行ったけどその先がないという選手がいるので。バスケットがうまい下手関係なく、帰化するには条件や期間があって、B1、B2はそれがなかなか難しいのですが、B3リーグは独自のルールで受け入れています。そこで活躍した選手が帰化してB1に入っていくような、そういった選手の育成も考えています。

――最後に、今後B3リーグをどうしていきたいか、特に力を入れていきたいところはありますか?
吉田 やはりB2に昇格できるチームを育てるリーグを作りあげたいなと思っています。また、リーグ自体の人材強化も進めていきたいと考えています。Bリーグでしたら、事業部、広報部、マーケティング部、競技部などが整備されています。B3では、上のリーグでそれぞれの役割を果たすことができる人材を育てていくことも重要だと思いますね。

――B3リーグも、吉田さんも“先生”のような感じなのでしょうか?
吉田 まだそこまでいかないですけどね(笑)。でも、育てること、経験を積んでもらうことが重要だと思っています。僕もいろいろなスタッフと関わっていますけど、やっぱり結果的にクラブがないと日本代表は強くなりません。経営になると、野球、サッカー、バスケットと様々なスポーツ興行がある中で、クラブ経営は大変です。バスケットボールクラブに携われば、バスケット専属でやれるという楽しみもありますけど、その分、成果を出さなければならないという厳しさもあります。個人的には、クラブも経験して、Bリーグも経験して、日本バスケットボール協会も経験する、そういう人材を増やしていかないと本当に強い組織にはならないと思います。それが、バスケットボール界全体の価値が上がることにつながると思っていますね。

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