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トップ層はもう東大を目指さない!? 採用高校が続々「国際バカロレア」とは

3/2(木) 16:50配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 世界の大学で入学資格として認められている「国際バカロレア」という教育プログラムが注目を集めている。

 国際バカロレアとは、スイスに本部を持つ「国際バカロレア機構」が提供する1968年開始の世界共通教育プログラムだ。玉川学園IBプログラムディレクターのユーリカー・ウィリアムさんは、国際バカロレアについて「世界的によく知られている教育プログラムで、ヨーロッパ・北アメリカ・オーストラリアなどのトップレベルの大学でその名が年々浸透してきている」と説明する。

 世界中で認められたこの国際バカロレアの学習方法は詰め込み式ではなく、“探求型“だという。「生徒自身が知識を発見し、学校側は“生徒を導く“というスタイル。彼らは冷静に物事を考え、自分なりに知識を形成する必要がある」とユーリカーさん。

 高校時代に履修経験がある滝野瀬あゆかさん(上智大学2年)は「歴史の授業があったが、年号や人名を言えるかは正直怪しい。でも、記憶というよりは自分で考えることの方を重点的にやっていた」という。また、「国際バカロレアを始めた頃は海外の大学に行くつもりだったが、勉強を重ねていくうちに自分の日本人としてのアイデンティティーにも目を向けるようになり、日本の文化を世界に発信していくような人材になりたいと思うようになった」と振り返った。

 教育ジャーナリスト・後藤健夫氏は「彼女が日本の文化に戻ってきたのは多様な文化を受容したからこそだ。国際バカロレアによっていろんな価値観を肌で感じ受け入れることが出来るようになる」と話す。

 「今までの日本の教育は“正解主義“だった。国際バカロレアでは、正解のない問いに対して折り合いをつけていく、ということをグループ学習でやっていく。正解が一つではないこれからの世の中で必要になってくる。アメリカの国際バカロレアでは、グローバルイシューでテロの問題を扱う。その教室にはイスラム教がいればキリスト教徒も仏教徒もいる中で、“テロとは?““国とは?“ということを討論していく。そこで築かれた能力は並大抵ではない」(後藤氏)。

 国際バカロレアで年齢別に4つあるプログラムの内、日本の高校2年~3年に該当するのが「ディプロマ・プログラム(DP)」だ。2年間のカリキュラムで、言語・理科・数学・芸術など6分野を履修する。さらに「課題論文」「知の理論」「創造性・活動・奉仕」の2つが必修とされ、これらは「批判的な精神や考え方を深める。知識そのものに対しても批判的に捉えるためのもの」(後藤氏)だという。

 このDPを履修し、共通試験で一定の成績を収めると、世界のおよそ2000の大学への入学・受験資格を取得できることだ。アメリカのハーバード大学など、超有名大学も国際バカロレアを入学資格として認めている。試験は45点満点で、24点以上が「合格」となっているが、「40点以上を取る、名だたる大学から奨学金付きでオファーがくる」(後藤氏)という。

 ユーリカーさんが所属する玉川学園の国際バカロレアクラスの生徒、太田征穂さん(高2)は「先生は自分自身の考えを導き出すプロセスを求めているので、自分の考えを主張しなければいけないことが大変」と教えてくれた。

 このクラスでは歴史や数学など約3分の2の授業が全て英語で行われる。なぜ、生徒たちはこのように大変な道を自ら選んだのだろうか。

 「日本の大学に行って医学部で学んで海外でも活躍できるような研究者になるため」(太田さん)
 「イギリスで一番有名な海洋学の大学であるサウサンプトンを目指すため」(佐藤壤仁さん)
 「将来、国際機関で働くため。法律の観点で難民問題の解決に携われるような人材になりたい」(内山七海さん)

 と、皆目標が明確だ。

 インターナショナルスクールに通っていたというタレントの宮澤エマは「私はアメリカの大学向けのAPというタイプの授業を受けていたが、別のインターナショナルスクールに通っていた友達は当時ヨーロッパの大学向けと言われていた国際バカロレアを受けていた。今後は、バカロレアの方がメインになっていくのでは。ただ、一流大学に行ける点を得るためには、求められることのハードルがどんどん高くなるので、けっこう大変だなと思います」とコメント。「欧米の大学では、教えられることに対してすら懐疑的に見るというか、自分の考えを持っていくことが大事だと教わる」と話した。

 また、ブラウン大学とハーバード大学院に通っていたタレントのREINAも、同じくAPを学んでいたという。「私たちはアメリカ人が書いた教科書を使っていたが、バカロレアはインド人が書いたフィクションを読むなど、国際的な雰囲気だった」と振り返った。

 現在、国際バカロレアは140以上の国と地域にある4677校で学ぶことができる。日本では1979年に導入が始まり、39校の認定校があるが、文部科学省は2018年までにこの認定校と候補校を合計200校にまで増やすことを目標にしている。後藤氏は「全世界で7万人の受験者がいるが、そのうち日本人はわずか700人。200校・4000人になったところで全体の5%ということで、まだまだ厳しい。文部科学省を含め、日本国内で国際バカロレアへの理解が深まる必要がある」と指摘した。

 国際舞台への切符ともいえる「国際バカロレア」が、入試改革を進める日本においてどのような立ち位置を占めていくのか、注目される。

(AbemaTV/AbemaPrimeより)

最終更新:3/2(木) 16:50
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