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シンガポールで叶える夢。クリプシー、サンウルブズに勝利をもたらすか。

3/2(木) 22:32配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 愛称クリプシー。公称177センチは、少し盛っているかもしれない。小柄なキウイが土曜日の午後、憧れてきたスーパーラグビーの舞台に立つ。
 3月4日、シンガポールで今季第2戦を戦うサンウルブズ。キングズ(南アフリカ)から今季初勝利をもぎ取りたいチームの選抜メンバーが、3月2日に発表された。この試合で背番号10を背負うのがヘイデン・クリップスだ。

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 トップイーストリーグの関係者、観戦者は、誰もが知る司令塔。2014年に来日し、東京ガスで3シーズンプレーした。小さな体躯も、パス、キック、ゲームコントロールのすべてにすぐれている。
 左足から繰り出すキックは正確で飛距離も出る。2月18日におこなわれたトップリーグオールスターズ戦でも実証済みだ。パス能力も高い。強いリストを使い、小さなモーションながら高速ロングパスを放る。キャッチング能力が高いため判断も確かで、プレーの選択肢も多い。

 ニュージーランドはウェリントン出身。5歳のとき、ジョンソンビルクラブでラグビーを始めた。名門ウェリントン・カレッジに学び、同校でファーストフィフティーンに。卒業後はペトネクラブで実績を積み、国内州代表選手権を戦うウェリントン代表、タスマン代表でプレーした。マールボロ協会で子どもたちの育成にあたる、ディベロップメントオフィサーのサポートをした経験もある。
 2010年、ウェリントン代表として初めてプレーしたシーズンは、現在日本代表ヘッドコーチを務めるジェイミー・ジョセフが指揮官を務めていた。

 ポジションは幼い頃から、ずーっとSO。いつもFWとBKのつなぎ役だった。
 ゲームのコントロール役を担ってきたから、自分の小さな乱れがチームの大きな乱れに直結することを知っている。長く、キャッチングスキルの向上に取り組んだ理由はそこにある。ボールを受けた後、パスをするのか、走るのか、キックを蹴るのか。それらの判断も、次のプレーにうまく移行できるかも、すべてはどうやってボールを受けるかにかかっている。そんな信念を持っている。
「幼い頃からくり返し指導を受けました。まずは普通にパスを受け、投げる練習。ラグビーボールだけでなく、バスケットボールやテニスボールなどをキャッチする練習もやったこともあります。試合で勝つことが大事な年代になったら悪天候を想定し、水で濡らしたボールで練習したりしました。両手でキャッチすることが大事で、胸で受けたり腕で抱えたりしたらペナルティ(腕立て伏せなど)が与えられるようなルールを決めて取り組んでいました。そんなトレーニングを繰り返しているうち、自然に体が反応してキャッチできるようになった」

 東京ガスでの3シーズン目の途中、自身のプレーを支えるものをそう語ったクリプシーは、アタックへのこだわりも持っていた。目の前の状況をしっかり見る。それがベストの判断を実現する、と。
「サインでやることが決まっていても相手次第で変えることも必要です。そもそも練習で何度も何度も繰り返しているのだから、味方の動きは見なくてもだいたい分かっている。パスを放る瞬間だけ、ターゲットを見ればいい。前に動きつつキャッチングすることも大事。それによって自分のトイメンをホールド(自分の外の選手の防御に向かわせない)することができますから。こちらが前に出て相手SOに近いところでパスをキャッチングするということはトイメンから判断する時間を奪うということ。いちばん内側のデイフェンダーが勢いよく前に出られなければ、外の防御ラインのスピードも鈍る」
 母国で叶わなかったスーパーラグビーへの思いが、ようやく実る。田中史朗とのコンビで攻撃ラインを前に出し、キングズの圧力に負けぬ勢いを出すのが重要な任務だ。
 得意のキックとパスでボールを動かす。キレのある動きで防御を翻弄したい。