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片平里菜「音楽はもっと神聖であるべき」内面と向き合った新曲「なまえ」/インタビュー

3/3(金) 15:16配信

MusicVoice

 福島県出身のシンガーソングライター・片平里菜が3月1日に「なまえ」をリリースした。約1年ぶりとなる新譜は、家族という普遍のテーマを歌ったミドルバラード。音楽は神聖な場所であり、嘘を付きたくないと考える彼女が、この期間で内面と向き合い、過去の記憶を遡るなかで胸にあった感情を歌にした。今回、プロデューサーを担当した皆川真人氏には、自らアコギを外しても良いと話したという。それだけ「歌に力があった」とも語る。一方のカップリング曲「ラブソング」では感情のリアリティを追求した。抜群の歌唱力を有しながらも冷静沈着なイメージがある彼女。その内面には音楽への熱い思いが宿る。新譜を通して伝えたかった思いとは。

福島でみた光景

――2年前の取材時にも手首にラバーバンドを付けていましたね。それは、福島復興のための支援プロジェクトに関するバンドだと聞いたことがあります。

 「3・11の震災で壊滅的な被害があった町にライブハウスをつくろう」というプロジェクトで出しているバンドなんです。このプロジェクトには、リスペクトしている先輩の方が参加しているので、私も付けています。ファッションではないけれど、付けることで見てもらう機会なれば良いかなと。「何だろう?」と感心を持ってもらうだけでも嬉しくて。

――片平さんは福島県の出身ですが同郷への思いは強いですか?

 そうですね。学校に在学している頃は、地元でありながらも福島の事はあまり知らなかったですし、行動範囲も狭かったんです。大人になってから車でドライブすることがちょっとずつ増えて、これまで分からなかった福島の魅力や楽しみに触れて、そこで地元の良さを知って。特に3・11以降は故郷への思いは強くなっていると思います。それは、福島のロケーションだけではなく、「福島を復興しよう、盛り上げよう」と頑張っている人達を見て格好良いなと思って、それが自分の誇りにも繋がったことが大きかったと思います。

――福島は2013年にNHK大河ドラマ『八重の桜』の舞台にもなりました。そこでは、会津の人の強さが描かれていましたが、人柄はどうでしょうか?

 土地に根付く我慢強さがあると思います。厳しい寒さの中で生きて行かなければならないという事を自然の厳しさのなかで知っているので、福島の人達は我慢強さと、“支え合う”という根本的な事を実感として持っていると思います。

――そうした考えは曲作りにも反映されていますか?

 意図的に入れ込んだりはしませんが、見てきた景色が当時は全て地元だったので、曲を作る中で自然と、そうしたニュアンスや言葉、精神面などは入っていると思います。

――都会、特に都内では人に対して無関心になりやすいとも言われていますが、都内に住んでいてそう感じることはありますか?

 地方から来て頑張っている人が多いので、そういった意味では「皆で頑張ろう」という共通の想いを感じます。でも、これだけ人が多いと見て見ぬふりをしてしまう自分もいるんですけど…。ちょっと下町の方へ行くと、商店街があったり、建物の距離が近い分、地元にいた頃よりも人との距離が近いなと思ったりします。そういう距離感は素敵だなと思います。

――ただ一方では近過ぎるとも言えますが。

 やはり人との距離も近いし、スマホもそうなんですけど、街の広告など色んな情報が流れてくるので、知らなくて良い事もインプットしてしまう状況に皆が晒(さら)されている気がするんです。そういった中では取捨選択していかないと、何が本当か分からなくなっていってしまう様な気がするんです。だから東京にいてたまに遮断してしまう時はありますね。でも東京には文化も歴史も確実に面白いものがいっぱいあるので、そういうものは見逃さないようにセンスを磨いていきたいなと思います。

――情報を遮断する方法は?

 音楽でかき消すという事はあります。

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最終更新:3/3(金) 15:16
MusicVoice