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侍ジャパンの5番・中田翔に目覚めのヒントを与えた“鉄人”と“兄貴”

3/4(土) 6:00配信

THE PAGE

 眠りから覚めた。

 3点を追う7回二死走者なし。マウンドには阪神の新外国人のメンデス。ワンストライクから外のやや甘めにストライクゾーンに入ってきたスライダーを中田翔が一閃すると打球はレフトポール際に飛び込んだ。

「打った瞬間に、行ったと思った」

 ムードメーカーの待ちに待った一発にベンチがどっと活気づく。

「ピッチャーに楽に投げさせることができていなかったから」

 それでも、中田は、自分のことでなくチームの話をした。

 昨年オフからWBC用の打撃のマイナースタイルに取り組んできた。簡単に言えば、体重移動から回転へ。
外国人投手対策に、“ぶれ”をなくし、精度を上げようという狙いがある。ハワイ自主トレでは、その打撃改造に直結する肉体改造にも取り組み、シェイプアップさせた。

 「基本、やってきていることは今も変わらない」

 だが、なかなか結果に結びつかない。台湾リーグ選抜との試合では「最低限の仕事」である犠牲フライを打ったが、ベンチが求めているのは、エナジー効果につながる「筒香の後ろ」中田の1本なのである。実は、この日、2つの目覚めのヒントがあった。

 試合前、あの“鉄人”衣笠祥雄さんが、悩める中田を呼びとめ、ボールを待つタイミング、いわゆるバッティングにとってもっとも重要な“間”について、自らお手本を示しながら、熱く語りかけたのである。

 ボールを呼び込むバックスイングの動作、腰の向き、下半身と上半身のねじれ……衣笠さんは、「ボールを捕まえていないんですよ。わかる? ボールを自分の間で捕まえてから打つんだよ」と、結果を欲しがるあまり、打ち急いでいるように見える中田のフォーム修正にヒントを与えた。

 “鉄人教室”のあとは“兄貴教室”である。

 5回の第2打席で阪神の岩貞に、タイミングを完全にはずされ、どんづまりのショートライナーを打ってベンチに帰ると、理論派で日ハム時代に兄のような慕った稲葉打撃コーチからのアドバイスが待っていた。

「インコースを(打つ打球の)すべてをインフィールドに入れようとしなくてもいいんだよ。ファウルになっていいんだから。それくらい余裕を持て打ちにいってみようよ」

 兄貴分の稲葉打撃コーチの助言に素直に耳を傾けたみた。

 結果欲しさの小細工が、そのバットスイングから消えて、ファウルでもいいと考えるとヘッドが効いた。

 それが待望の強化試合初アーチである。

「僕の持ち味のフルスイングをどんどんしていかないとだめだと思った。いいアドバイスをもらいました」

 メジャーリーガー、青木の合流も刺激になったという。

「大きな存在です。貪欲に勉強させてもらいたい。一緒に戦い、がんばりたい。そしてもっとピッチャーが楽に投げられるように援護していきたい」

 坂本、筒香が、のれそうでのれないというクリーンナップにあって、一番、不安視されていた中田が、まず最初に覚醒した。小久保監督はこの日あらためて、現時点で、不動のクリーンナップを貫く考えであることを断言した。開幕ギリギリになって役者が揃い始めてきた。
   

最終更新:3/4(土) 6:00
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