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「500円プラスして」「但し書きを変えて」客が嘘の領収書要求…どんな問題になる?

3/4(土) 10:08配信

税理士ドットコム

「500円くらいプラスして書いておいて」。20代のアルバイト男性が、客からこのように求められ、「わかりました」と応じてしまったエピソードがネットの掲示板に投稿されていた。この投稿に対して、過去に「できません」と断ったら、キレられてしまった経験を打ち明けるコメントも書き込まれていた。

金額だけでなく、但し書きが問題になることもあるようだ。缶ビールやお菓子を買って、「事務用品にしろ」と要求された事例や、肌着1枚とビール3ケースを買った客からの要望で、「作業着代他」としたことのある事例なども投稿されていた。

領収書に、事実と異なることを書くように求められた事例や、対応が面倒で白紙の領収書を渡したという事例はネットでもたくさん出てくる。これらは、どんな問題に発展する可能性があるのか、島田弘大税理士に聞いた。

●発行した側・された側それぞれにリスクがある

「領収書はお金を受領した者から支払いをした者に対して発行されるもので、お金の受け渡しがあったことを証明する書類です。

税務の観点からみた場合、この領収書に書かれた事項に基づいて、受領者側としては『売上』を計上し、支払者側は『経費』として計上することになります。逆に言うと、領収書は将来、税務調査があった場合に、売上・経費として計上された取引の内容を証明する書類にもなるということです。

領収書やレシートがないと経費として認められないわけではありませんが、領収書やレシートは客観的な証拠書類として説明がしやすい書類ですので、重要と言えます。それを逆手にとって証拠書類を偽造するなどして、不正に経費を計上していることがわかった場合には、重いペナルティーが科されることになるでしょう」

どのようなペナルティーが考えられるのか。

「例えば、事実と異なる金額や但し書きなどが書かれた領収書に基づいて経費を計上していた場合、税務調査時にその内容を精査され、不正が発覚した際には重加算税が課され、さらには刑罰を科されるという可能性があります。場合によっては領収書の発行者に対する反面調査が行われることもあります。

白紙の領収書を発行してもらって虚偽の内容を書くなど、不正に利用している場合は、言うまでもなくペナルティーの対象となります」

では、そのような領収書を発行した側にはどのようなリスクがあるのか。

「これは、もはや法人税法・所得税法上の取扱いだけではなく(もちろん程度や状況などの問題もありますが)、最悪の場合は脱税ほう助などで刑事事件として扱われる可能性が考えられます。

ちなみに、今回のご質問内容からは話がそれますが、領収書を発行する際のマニュアルなど管理がされていないと、二重で取引先に請求してしまい迷惑をかけてしまったり、従業員が領収書を勝手に作成し取引先に渡し、売上金を着服するなどの不正につながる可能性もあります。

領収書を発行する側としても、発行にあたっては細心の注意が必要であることを理解して、管理していく必要があるでしょう」

【取材協力税理士】

島田 弘大(しまだ・こうた)税理士

海外取引のある中小企業支援に特化した国際税理士事務所を運営。税務申告だけでなく、中小企業が日々直面する海外取引に係る国際税務コンサルティングを強みとする。シンガポールを中心に東南アジア進出支援の実績多数。

事務所名 : 島田&アソシエイツ国際税理士

事務所事務所URL: http://shimada-associates.com/

弁護士ドットコムニュース編集部