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電子版も効果なし? 地方紙「常陽新聞」休刊

3/4(土) 18:41配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 茨城県の地方紙「常陽新聞」が3月末での休刊を発表した。「茨城県南に密着した地域紙」がキャッチコピーの常陽新聞は茨城県の土浦市とつくば市を中心とした県南が販売エリア。8ページのタブロイド判の紙の新聞のほか、電子版も配信していた。

 常陽新聞の歴史は長く、戦後間もない1948年に発売をスタートし愛されてきた。しかし、2013年、ピーク時は1万部だった発行部数が5000部を切り、負債は1億2000万円にも膨らんだため廃刊。しかし、2014年に「この度、つくば市、土浦市と県南15市町村におきまして、新たに常陽新聞を新創刊させて頂くことになりました」と都内のIT系コンサルティング会社が2000万円を出資して新会社を設立し「常陽新聞」が復活することになった。

 生まれ変わった常陽新聞は徹底したコスト削減策をとり、自前の輪転機から他社への委託印刷に切り替え、本紙のサイズもタブロイド判にシフト。さらに、本紙の登録者全員に電子版のアカウントを無料で配布する“セット販売”を目玉戦略として打ち出していた。

 電子版と本紙契約のセットで講読料は月額2080円。購読者数の目標は、県南エリアの住民約104万人のうちの1万人を掲げ、落ち込んだ購読者数を手軽な電子版とのセット戦略で取り戻せるかが注目されていた。

 しかし、今月1日「購読者数の伸び悩みを主因として経営状況は非常に厳しく、現在に至るまで月間数百万円の営業損失を継続して計上しております」と紙面に掲載し、「抜本的な経営改善策を見出すのは困難」と新創刊して3年でふたたび休刊となった。

 休刊に際し18人いる従業員は希望退職に応じており、会社も再就職に向けた支援をするとしている。また、会社自体は存続し第三者への事業引き継ぎの可能性を探っているという。

 楜澤悟社長は今回の休刊の原因について「自分自身の経営手腕が至らなかった点がある」。常陽新聞の閲覧者数について本紙は「スタート時の3000部から大きく伸びることはなかった」とし、ネット版については「関心のあるニュースが出た場合にひとつのニュースの閲覧者数が1万人に達することもあった」と一定の手応えを感じたものの「無料のニュースとして出した場合はそれくらい来ていただいていたが、そこから有料会員になっていただいたお客様は予想していた数より低かった」と振り返った。

 現代社会では、インターネット上において無料で情報を手に入れることが出来る。そんな中で3年間、有料課金モデルで購読者を集めようとしたことについては「当時から無料のニュースメディアはたくさん出ていた。けれど地元の深い情報はそれほどネット上には出ていなかったので、その部分に絞り込めばお金を払ってくれる読者もいるのではと予想し、期待を込めてビジネスを始めた」と振り返る。

 デジタル媒体の主流化により新聞ビジネスの構造は今と昔で変化している。これまでは広告主が新聞社に広告料を支払い広告を掲載してもらい、読者は講読料を支払うことによって新聞のビジネスモデルは維持されてきた。しかし今のデジタル媒体は、新聞社が広告主から広告料をもらい広告バナーを掲載することは同じだが、購読者は基本的にポータルサイトにも新聞社にも料金を支払う必要はなく無料で閲覧することが出来る。

 つまり、今電子メディアを支えているのは『広告料』であるといえるだろう。今回の常陽新聞の休刊に際して生じた問題は、ある地方紙だけではなく今後のジャーナリズムに共通する問題なのかもしれない。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

最終更新:3/4(土) 18:41
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