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冬眠期間が短縮 イタリアのクマたちにも温暖化の波

3/4(土) 12:00配信

The Telegraph

【記者:Nick Squires】
 イタリアでは季節外れの温暖な気温の影響で、クマが冬眠から例年より早く目覚めている。地球温暖化が欧州の野生動物に及ぼす憂慮すべき兆候だ。

 イタリアに生息するヒグマの個体数は少なく、綿密な観察調査が行われている。そのため環境保護活動家らは、「フランチェスコ」の愛称で呼ばれる9歳の大きな雄のクマが最近、冬眠をわずか48日間で終えたことを把握している。

 スロベニアとの国境に近い山岳地帯に住むフランチェスコは、気温が17度に達して雪が溶け始めると、ねぐらから出てきた。

 野生動物の保護に当たる森林監視員たちは、体重190キロ近いフランチェスコがこの地域で問題を起こし始めるのではないかと懸念している。山にはまだ木の実などがなっていないため、フランチェスコは谷まで下りてきて、果樹園や養蜂場を荒らしたり、ごみ箱をあさったりせざるを得なくなるかもしれないからだ。

 フランチェスコには無線の首輪が付けられており、イタリア北東部フリウリベネチアジュリア(Friuli Venezia Giulia)自治州の山、カルニケアルプス(Carnic Alps)での動きを科学者たちが追跡できるようになっている。科学者らは、冬眠が早く終わっただけでなく、遅くに始まったことも把握している。フランチェスコがねぐらに入ったのは12月13日だった。

「12月の気温は高かったのでフランチェスコはブナの実を見つけることができて肥え太り、寒波が訪れると冬眠に入った」と、ウディネ大学(University of Udine)の研究者ステファノ・フィラコルダ(Stefano Filacorda)氏は日刊紙レプブリカ(La Repubblica)に述べている。
「1月はこの30年間で最も寒く、フランチェスコはよく眠っていたが、2月中旬は標高1500メートル地点の方が下の谷より暖かかった。気温の逆転が起こり、冬眠から目覚めてしまった」

 イタリアのヒグマは、何世紀にもわたって狩猟や密猟が行われた結果、絶滅の危機にひんしていた。だが1990年代、この国のヒグマを救うことを目的に欧州連合(EU)の資金を得て行われたプロジェクトの一環として、10頭のクマがスロベニアから連れて来られた。

 10頭はカルニケアルプスの草原や針葉樹林で繁殖し、現在ではドロミーティ(Dolomites)山地が広がるイタリア北東部に約50頭が生息しているとみられる。

「冬眠期間が短いことが今や当たり前になってしまった」と、イタリア環境保護研究所(ISPRA)のクマ専門家、ピエロ・ジェノベシ(Piero Genovesi)氏は言う。「この現象は雪不足と関係している。とりわけ今年は雪がほとんど降らなかった。食料がほとんどない今、フランチェスコはあちこち動き回ってストレスを感じているだろう」

 イタリアで温暖な冬の悪影響を受けている動物はクマだけではない。世界自然保護基金(WWF)イタリア支部によると、アイベックス(野生のヤギの一種)やライチョウなどの食生活にも気温の上昇による影響がみられるという。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:3/4(土) 12:00
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