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YOSHIKI「僕らはうぬぼれていた」 Toshlの洗脳、HIDEの死で気付かされた現実

3/4(土) 7:20配信

クランクイン!

 「乗り越えたわけじゃない。傷は一生消えない。でもこの映画で共存していく術を見つけたのかな」。YOSHIKIは、自身がリーダーとなり歩んできたバンドX JAPANの歴史を紐解くドキュメンタリー映画『WE ARE X』についてこう答えた。世界への挑戦、脱退、解散、HIDEとTAIJIの死、Toshlの洗脳…そして復活。結成30年を超えて、今なお熱狂と狂乱を生み出すロックバンドX JAPAN。そのリーダーとしてあまりにも壮絶な人生を体現するYOSHIKIに、なぜ映画を制作したのか、なぜここまで人生をファンとX JAPANに捧げるのか…。YOSHIKIにその思いを聞いた。

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 「今、僕らX JAPANは進行形ということもあって、(映画を制作することで)人を助けることができるのではないか、生きる希望を与えることができるのではないか、という意見を聞くようになり、段々と(映画を)作ろうという考えに変わってきました」と、本作の制作経緯を明かしたYOSHIKI。20年以上前からドキュメンタリー制作の打診があり、ラストライブ含めX JAPANの映像は残してはいたものの、YOSHIKI自身、過去を映像として振り返ることができず「できない」と断っていたのだという。それが、X JAPANの再結成で考えに変化が生まれた。

 よくあるミュージックドキュメンタリーにはしたくなかったというYOSHIKI。「僕達の使命というか、これまでに経験したものがあったので、それを形にしようというところから始まったんです」と語る。本作を制作するうえで、YOSHIKIは過去について何度も話をしたという。「僕も最初はぎこちないというか、うまくしゃべれなくて…。聞かれたことについて黙ってしまい、中断したり…。なかなか核心にたどり着くことができなかったのですが、時間を掛けて何度も話をしました」。

 繰り返し取材を受けることで、「語りたくない気持ちをあえて話すことで、それを乗り越えられるんじゃないかと思うようになっていき、その過程が僕にとってのセラピーになり、浄化されるような気持ちになりました」と話す。「最終的には、過去への扉を全部開けてしまったんですけどね(笑)」と、茶目っ気たっぷりに答えた。


 本作を作るうえでYOSHIKIは絶対条件として「制作には関わらない」と決めていたと明かす。「僕が関わるとダメになってしまうと思って。ただプロデューサーと監督選びはさせていただきました」。YOSHIKIのプロデューサーと監督選びの条件は「X JAPANを知らない人」。その理由は「先入観を持っていたら、質問があっても僕らに聞くことができないと思ったから」。そうして選ばれたのは、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『シュガーマン奇跡に愛された男』を手掛けた製作スタッフと、ドキュメンタリー映画で多くの実績を持つスティーヴン・キジャック監督。YOSHIKIは彼らに全幅の信頼を置き「ホラー映画にはしないでくれ(笑)と言いました。僕達の話は、一歩間違えるとホラー映画にもなりえてしまうので」と。壮絶な経験をしてきたとはいえ、ユーモアも忘れない。

 「僕はファンのみんなに救われた。だから人を救えるような映画にしてほしい」。製作陣へそう気持ちを伝えたというYOSHIKI。「僕は生きていることが奇跡だから…。ファンの人たちに頂いた第2の人生、第3の人生だと思ってるんです。怖いものは何もない、明日死んでもいいというくらいに思ってる。でも、頂いた人生をちゃんと全うしてファンに返したい。映画に秘めたことは“不可能なんて何もない“ということなのですが、それをどこまでできるのかな…と思っています」。

 解散している期間はあったものの、結成30年以上を誇るX JAPAN。YOSHIKIは、改めて“X JAPAN”というバンドについて思いを馳せる。「たぶん、Toshlがああなる前、HIDEが亡くなる前は僕らはどこかでうぬぼれていたと思うんです。当たり前のようにメンバーがいて、当たり前のようにファンがいて、それがいかにありがたいことだったかということを、この20年で学びました。また今こうして再結成しているなんてありえないと思っていたんです。メンバーも亡くなってますし…。これだけのチャンスをもう1度与えられたのだから、ある種使命感ですね」。X JAPANの物語は、まだまだ終わらない。(取材・文:ほりかごさおり)

 映画『WE ARE X』は絶賛上映中。