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カーフェリー「防災」も重要な役割に 進む災害対応力の強化、その内容は

3/5(日) 7:00配信

乗りものニュース

新造船「ブルーハピネス」お披露目

 カーフェリーは将来、「観光」「モーダルシフト(貨物輸送の方式をトラックから大量輸送機関である鉄道や海運へ転換すること)」というこれまでのものに加えて、「防災設備」の役割も必須になるかもしれません。そんな可能性を示すフェリーが完成し、2017年3月1日(水)に横浜港でお披露目されました。

【写真】防衛省と災害時優先使用の契約をしている船「ナッチャンWORLD」

 いつもは豪華客船のターミナルとして活用されている横浜港大桟橋客船ターミナルに登場したのは、広島県の内海造船で竣工したばかりの「ブルーハピネス」。津軽海峡フェリー(北海道函館市)が所有する8800総トン、乗客定員583名、トラック71台または乗用車230台積みのカーフェリーです。3月11日(土)より、函館港~青森港間を3時間40分で結ぶ輸送サービスに従事します。

 津軽海峡フェリーには、これで「ブルーマーメイド」「ブルードルフィン」と同型3隻がそろいます。これらの船は、通常のフェリーとしての機能に加え、バリアフリー仕様で、巨大地震や津波といった災害時には支援船になれる能力も持っており、本格的な災害対策船の登場としても注目を集めています。

津軽海峡フェリー「ブルーハピネス」登場、そこにある3つの意義とは?

 横浜港での「ブルーハピネス」お披露目セレモニーで挨拶に立った国土交通省の羽尾一郎海事局長は、同船の3つの意義を強調しました。

 ひとつは、道南、青森地域を訪れる観光客の増加を促進させることです。インバウンド客の受け入れ拡大など国を挙げて観光振興を進めているなかで、北海道新幹線の開通もあって道南、青森は広域観光地域として注目されており、この地域は昨年、前年比25%も立ち入り客が増えました。この動きを加速させる役割が期待されます。

 ふたつ目は、地球環境対策やトラック運転手の不足対策として進めて来た貨物輸送のモーダルシフトを加速すること。そして最後、もっとも強調したのが「災害対応での活躍」です。

「災害列島」――日本列島はこんな異名を付けられるほど自然災害が多く、これからも多発する可能性が指摘されていますが、そうした災害時にフェリーや客船などが海からの支援ルートとして大きな役割を果たしています。支援物資の輸送、お風呂や食事の提供といった被災者支援など、東日本大震災や熊本地震においてフェリーや客船が機能することは実証されています。

 しかし実際に災害が起きたとき、これら民間客船は定期航路に就航しているため、すぐに支援へ駆けつけることができないといった制約があります。加えて、被災者への医療や食事の提供、自衛隊など救援部隊の輸送、救援装備の輸送など、あらかじめそうした役割を担うことが想定されていない場合、民間客船ではハード面でもソフト面でも対応できない場面がありました。

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