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地域特有の表現 三線に 民謡歌手の照屋政雄さん ラジオや漫談 味わい伝授

3/5(日) 9:55配信

沖縄タイムス

 シマが変われば言葉も変わる。民謡歌手の照屋政雄さん(77)=沖縄市=の原点は、その地域が持つ“土くさい”言い回しを大切にすることだ。ユンタクするように強弱を付け、喜怒哀楽の感情を三線の音色にのせる。故郷である読谷村波平の感嘆詞を使った「イビ-読谷者(ユンタンジャー)」は代表曲の一つ。県外、国外にも広がる弟子たちに教室で、ラジオで、漫談大会で、歌三線の神髄を伝えている。(中部報道部・溝井洋輔)

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 ラジオや映画にも出演し民謡歌手のジャンルを超えて活躍してきた照屋さん。FMよみたんで週1回の番組を4年ほど前から教室の門下生と一緒に担当する。故郷への恩返しと後輩育成の思いからだ。

 土曜夕方の1時間番組「うたやびら かたやびら」。よもやま話に、しまくとぅばを織り交ぜる。聞いてほしいのはスタジオのアシスタントと県内のリスナーだけではない。インターネットを通じ、県外に大勢いる門下生が聞くことを意識する。

 三線は工工四を勉強すれば上達する。しかし、歌はのど使いや呼吸法の技術だけでは足りない。心を込めるためには、言葉の意味が分からないと始まらない。「わーが使とーるうちに、分かってくるばーよ」。語りが多い番組の狙いをこう教えてくれた。

 2月下旬の番組。半年ほど前からアシスタントを務めるマデオ・梨乃さん(33)=那覇市出身、恩納村在、旧姓・玉城=との楽しそうな掛け合いの曲が響いた。

 ♪イビ-ユンタンジャー イビヨーイ♪

 「イビ-」とは、読谷の一部地域で年配の人に残る感嘆詞。「えー」と驚いたときなどに使われるという。「イビイビイビ」と早口で言うときや、抑揚をつければ、後に継ぐ言葉がなくても、その状況で、だいたいの意をくむことができると照屋さんは言う。

 「読谷のPRソング」と照屋さんが位置づけるこの曲に思い入れが深い人は少なくない。FMよみたんの仲宗根朝治社長(51)もその一人。「小学4年のとき、古堅小から読谷小に転校して初めて聞いたとき、なんだこの言葉は、と衝撃を受けた」と振り返る。

 同じ村内でも知らない人がいる-。読谷小学校区の波平や高志保などに限られる地域特有の言い回しと実感した。しかも、覚えている世代は自らがぎりぎり。読谷特有の言葉を残そうと平日午前11時からの自らの番組のオープニング曲で日々流している。

 照屋さんは昨年始まった「S-1沖縄しまくとぅば漫談大会」(主催クレスト)にも出場する。第1回は地域ごとのなまりを話した三線漫談で金賞。ことし1月の第2回では「丘の一本松」をウクレレ漫談にして3位に入った。

 FMよみたんの番組は3月末で終えるが、大会には今後も出る。来年に向けて「アカペラ漫談」のネタを考案中だ。

 「しまくとぅばの良さは、地域によって違う味があること。それが誇りであり、懐かしさでもあるんだよ。だから、歌を上達するのも故郷を愛することだね」。後進へ継承する意欲はまだまだ衰えない。

最終更新:3/5(日) 9:55
沖縄タイムス