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「オバマ政権が盗聴」トランプ大統領が突然の“爆弾”ツイート

2017/3/6(月) 19:00配信

THE PAGE

ウォーターゲート事件受け通信傍受を規制

 トランプ大統領がオバマ前大統領を名指しで攻撃する非難するツイートを行う前、アメリカではトランプ氏や政権中枢メンバーとロシア政府との間に以前から何らかの繋がりが存在したのではないかという指摘が相次いでいた。早い時期にトランプ氏支持を表明したジェフ・セッションズ司法長官は、議員時代に上院軍事委員会の上級メンバーも務めていたが、昨年の大統領選期間中に駐米ロシア大使と数回にわたって接触していた事実を1月の指名承認公聴会で言及しなかったことが1日に判明し、民主党の議員を中心に辞任を求める声が高まっている。

 一連のロシア関連報道から世間の目をそらすために、突然ツイートしたとのだという見方もあるが、具体的な証拠も出さずにツイッターでオバマ氏を非難した理由は不明だ。

 英ガーディアン紙は1月、米大統領選へのロシアの関与について情報を収集していたFBIが、昨年夏に「外国情報監視法」(FISA=Foreign Intelligence Surveillance Act)に基づいて設立された特別裁判所で、ロシア政府関係者との親密な関係が疑われたトランプ陣営の関係者4名を対象にした通信傍受の令状発行を申請したものの、司法省内にある特別裁判所は「目的を絞るべき」との理由で令状は発行しなかったと伝えている。ダウ・ジョーンズ傘下のニュースサイト「ヒートストリート」は昨年11月、複数の諜報機関関係者の話として、昨年10月に令状の発行が一通だけ認められていたと伝えている。しかし、具体的に誰が対象となり、通信傍受によってどのような情報をFBIが入手したのかは明らかになっていない。

 外国情報監視法は、ニクソン政権が情報機関による民主党本部や反戦活動家らに対する盗聴や監視に関与していたとするスキャンダル(ウォーターゲート事件)を受け、情報機関がアメリカ国内でアメリカ市民に対して盗聴などを行う際に厳しい規制を設けた。1977年にテッド・ケネディ上院議員が法案を提出し、翌年から施行された。

 アメリカ国内でスパイ活動を行なう外国人や、外国政府機関、テロを計画する団体や個人、これらに関係すると疑われる外国人やアメリカ市民に対して、特別裁判所の許可が下りなければ、米国の情報機関による通信傍受ができない。事実上、アメリカ市民へのアメリカ国内での傍受はできない法律だったといえる。

 ちなみに通常の犯罪捜査でも盗聴は合法的な手段として使われており、政府機関や地方警察は1968年から犯罪捜査における証拠の収集を目的として、裁判所から通信傍受を認める令状を発行してもらっている。通常、これらの令状は組織犯罪や麻薬取引の捜査で使用されるケースがほとんどだ。

 アメリカ国内での通信監視は、2001年の9.11同時多発テロ事件後に行われた法改正の影響などもあり、対象者の数が増えている。同時テロ直後、当時のブッシュ大統領は大統領令に署名し、裁判所の令状を取らないで通信傍受をさせていた。これによって、多くのアメリカ市民が対象となり、国際電話や電子メールなどが傍受されたとされる。これが2005年、ニューヨークタイムズ紙のスクープによって明らかになると、アメリカ国内で訴訟が相次ぎ、長期化するイラク戦争と並んで政権の支持率低迷の大きな要因となった。 

 2008年に外国情報監視法は再び改正された。アメリカ市民への通信監視は裁判所の許可をあらためて必要要件とする一方で、外国人に対しては、テロ対策として令状なしの通信傍受ができるようにした。政府が盗聴などに関する記録を10年間保管したのちに破棄できる権利や、通信傍受に協力した通信会社に対する免責も認められた。オバマ大統領は2012年12月に改正法の期間延長を認める法案に署名しており、延長された改正法の期限は今年いっぱいまでとなっている。

 トランプ大統領がツイッターで主張した盗聴に関しては、4つの可能性が考えられる。

 司法省がこの問題に関して現時点で公式の見解や記録などを示していないため、どれが正しいとは言えないものの、トランプ陣営の動きがロシアのスパイ活動とリンクする疑いがあったためにFISAが令状を発行したパターンや、トランプ陣営の活動(個人もしくは団体として)がアメリカ国内の法律で犯罪行為となる可能性があったために通信傍受の令状が発行されたこともあり得る。いずれにせよ、オバマ大統領の独断でこれらの令状が発行されることはない。

 3つ目の可能性は、オバマ政権が令状を取る手続きを行わずにトランプ氏の通信が傍受されていたケースで、これが立証された場合にはアメリカ国内外を揺るがす大スキャンダルに発展するだろう。4つ目はトランプ氏の主張そのものが虚偽で、盗聴自体が行われていなかったという場合だ。すでに複数のオバマ政権関係者が、トランプ氏に対する盗聴行為は存在しないと発言している。

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最終更新:2018/10/3(水) 10:20
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