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高島オイシックス社長、「大企業病に抗い続ける」

3/6(月) 14:00配信

ニュースソクラ

「わが経営」を語る  高島宏平オイシックス社長(中)

――2016年3月期の売上高は201億5853万円ですね。海外での展開はどうですか。

 今、香港でやっています。それ以外の国も、アジアで検討しています。

――インターネットで注文を受けて安全な食材を宅配するというオイシックスのビジネスモデルは海外でも有望ですか。

 オーガニック(有機農産物)のような市場の拡大は、ヨーロッパで始まり、米国、次いで日本に来て、今中国で始まりつつあるという具合に、少し時差があるのです。生活が成熟するにつれて、ヘルシーな物を食べた方がいいと考えるようになるのでしょう。

 中国に関しては食の安全性についての疑義が起きて、それがアジアに広がっています。中国の食材を輸入している国も多いですから、市場が拡大するのは間違いありません。

 ただし僕らは、これから経営統合する大地を守る会(本社千葉市)さんも、宅配ですが、米国では実店舗での販売が中心です。アジアでどのようなビジネスモデルが主流になるかは、今後の課題です。

――お国柄の違いもありますからね。

 なぜそうなったのか、わからないんです。たまたまではないでしょうか。命を賭けて頑張った人がたまたま、宅配でやったのか、店舗でやったのかの違いのような気がします。

――今後、中国やアジア諸国でも積極的にやるのですか。

 そんなに多くの国で一気にはできないんです。日本でも痛感したのは、売り上げが増えたら畑を増やさなければなりません。畑を増やしたら、配送センターを大きくしなくてはいけない。

 ポケモンのビジネスと違って、お客様が増えるごとに、サプライチェーン側でやるべき仕事が結構あるんです。その土地ごとに生産者と関係を作り、物流システムを構築しなければならないのです。

 従って特定の国で、場合によっては特定の地域に根差して、少しずつお客さんと生産者を増やしながら、やって行く必要があると思っています。

――国内では、どのくらいの数の生産者つまり農家から仕入れているのでしょうか。

 オイシックスが約1000で、大地を守る会さんが2000くらいです。ほとんど重なっていませんから、統合すると約3000の生産者のネットワークができます。

――秋に大地を守る会と経営統合しますが、オイシックスは2000年に創業して以来、独自の企業文化を作ってきたわけですね。特徴は何ですか。

 大地を守る会さんと対比しますと、一つの特徴はお客様志向です。大地を守る会さんは、作り手、生産者志向で、よい意味で重なっていないんです。結局、我々は作り手と食べる人とのウィン-ウィンの関係を作らないと、好循環するビジネスモデルはできません。

 オイシックスはお客様の側に立ち、大地を守る会さんは逆ですから、この2つのカルチャーがぶつかる場合もあるかもしれませんが、上手に融合させれば、バランスのとれたいい状態になると思います。

――高島さんは学生時代に起業の経験があり、その仲間たちを中心にして社会に出てからオイシックスを創業して、同志的なチームワークでいろいろな困難を乗り越えてきました。企業は大きくなると、変わります。今後、企業文化をどう進化させていくのか、興味があるのですが。

 10人のときから、30人、50人、100人と増えて行くのに従って、組織は常に変わり続けていきます。ですからその時々に合った組織体系を作って行かなくてはいけないと思っています。

 自分たちは、カルチャーを守るという発想は無くて、そのつど新しいカルチャーを作くろうと考えています。昔はよかったねというのと、昔のやり方にこだわるというのは違うと思います。5人のときに適した方法で、100人の時にやろうとしても通用しないですよね。

 だからやり方をいかに進化させるかが大事です。大企業病にならないで、ベンチャービジネスのようなスピード感のある組織を、ベンチャーとは違う経営でいかに作っていくかが重要で、それが自分の役割でもあります。

 その意味では、インフルエンザの予防注射みたいなもので、今度の経営統合もそうだと思うのですが、何か刺激があると、みんなベンチャーみたいになるんです。ショックがあると、頑張らざるを得ないですからね。

 今回は僕自身も無茶せざるを得ません。自分が創業していない会社の200人の方々と一緒になるのですから、必死にやらなくてはならないし、みんなが無茶をすれば、組織は活性化します。

 今回はインフルエンザの予防注射と言うには刺激がもっと強いのですが、絶えず刺激を与え続けるのは大事で、それで外に向けて強くなっていくのだと思います。

 社員は今230人くらいで、アルバイトやパートタイマーの方も含めますと700人強です。大地を守る会さんと統合すれば全体で1200人くらいになるのではないですか。

――現在でしたら、全員の名前と顔をまだ覚えられますね。

 今は学校で言えば1学年程度なので覚えられますけど、覚えきれない規模になりますから、経営のスタイルを大きく変えなくてはいけないと思っています。

 うちは役職で互いに呼ぶことは無くて、私は「宏平さん」です。1人だけ「マネージャー」と呼ばれている人がいますが、マネージャーという役職は無いので、あだ名なんです。

 大企業病にならないように、抗い続けることは大事ですね。それには刺激を与えるのが手っ取り早い。課題を目いっぱい抱えれば、みんな自分で判断してやるようになります。僕自身も活性化しますから、いいですよ。
(次号に続く)

■聞き手 森 一夫(経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、日本経済経営研究所客員研究員、特別編集委員兼論説委員を歴任。著書に「日本の経営」(日経文庫)、「中村邦夫『幸之助神話』を壊した男」(日経ビジネス人文庫)など。

最終更新:3/6(月) 14:00
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