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「人間らしい生活できない」 努力や意欲は評価されず ハローワーク契約社員・専門職40代

3/7(火) 16:50配信

沖縄タイムス

連載「働く」を考える

 「失業者支援の立場にいた人が、支援を受ける側になるって本当にあるんだなって笑っちゃって」。沖縄労働局管轄のハローワーク(HW)で求職者の支援に当たる40代の大橋佳奈子さんは苦笑いした。2月下旬、上司から次年度の契約更新がないことを告げられた。その日以来、不眠の状態が続いている。10代後半の学生の子を持つシングルマザー。4月からの学費をどう工面するか、期日は迫るのに目の前は真っ暗なままだ。

 勤務して約2年。キャリアコンサルタントや産業カウンセラーなど資格保持者が就く専門職の契約社員。日額約1万3千円で資格を持たない一般相談員より給与は10万以上多い。手取り23万円前後から子どもの学費に加え、キャリアアップのため資格取得を目指して支払う自身の学費出費がかさむ。

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 窓口対応に個別のキャリア指導や求人開拓など業務は多岐にわたる。外勤も多く、繁忙期になると日程はびっしり詰まり、「ほっと一息つける時間なんて片時もない」。一方、支援では一人一人に合ったきめ細かな対応を心掛ける。頼りにされ、期待に応えられたと感じるケースも増えた。対応力を磨こうと休日を使って有料の講座を受講し、勉強を続けた。やりがいを感じていた仕事に、ようやく自信がついてきたころだった。

 HWは職員の7割を非正規が占める(2015年4月)。単年度ごとの契約で、年度末に面接による公募試験があるが、選考基準はよくわからない。

 私語や陰口が多く、窓口対応にふさわしくない“ため口”や服装など、職場に漂う「なれ合い」や「だらだら」とした雰囲気に、大橋さんは当初からいら立ちを覚えていた。先輩相談員に面と向かって「不適切だ」と意見し、逆に非難を受けたこともあった。

 10人以上いる契約社員の中で更新がかなわなかったのは大橋さん含め数人。経歴5~10年の先輩の多くは残った。自分の方が勤務態度で劣っていたとは思えない。約2年で異動する正規の上司は先輩相談員に「頭が上がらないように見えた」。関係が良くなかった先輩の自分への評価が選考結果に影響したのではないかといぶかる。

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 雇用支援の仕事に情熱を見いだしたのは5年以上前。非常勤として勤めた自治体に大橋さんの働きぶりを評価し、将来性を見込んでくれた上司がいた。はっきりものを言う性格にも「正直だから君がいい」と、重要な仕事をどんどん任された。子どもが高校を卒業し、自分の時間ができる。今からでも資格を取れば、「十分支援する側として役割を果たせるのではないか」と考え、奮起した。

 限られた収入の中、目標を見失わず厳しいやりくりを続けた。だが、その努力も意欲も「有期雇用」という現実に摘み取られた。HWの上司には、月収が15万円以下になる一般相談員の枠を打診された。「憲法で人は人間らしい生活を求める権利があるとうたわれているのに、こんな待遇では到底できない。私たちを一体なんだと思っているのか」(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

雇用終了の通知を、リサイクルされた使い古しの封筒で受け取った大橋佳奈子さん。HWのどこまでも心ない対応に「悔しくて悲しい」と語る

最終更新:3/31(金) 15:15
沖縄タイムス