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「郵政民営化よりも原発ゼロの方が簡単だよ」 進次郎氏への思いも…小泉純一郎独占インタビュー(後編)

AbemaTIMES 3/8(水) 23:10配信

未曾有の被害をもたらした東日本大震災、そして福島第一原発の事故から6年が経過した。今回AbemaTVでは、小泉純一郎元総理の単独インタビューに成功。後編では、小泉元総理が打ち込んできた原発ゼロ運動、そして小泉進次郎氏に託す思いなどを聞いた。(聞き手:小松靖・テレビ朝日アナウンサー)。

■反省の意味も込めて、運動を展開しようと思った

ーー(前編のつづき)そもそも小泉さんが原発問題に関心を持ったのはなぜなのでしょうか。

 あの事故のあと、テレビ・新聞の報道で、津波の状況が連日流されたよね。あれを見ていて、「原発は絶対安全」というのは嘘だったんじゃないか、そういう感じを持ったから。引退して時間もあったし、勉強のつもりで本を読み出したんだよ。どういう形で原発を導入したのか、なぜ安全だと言っていたのか。

 読めば読むほど、勉強すればするほどね、推進論者が言っていた、「絶対安全」「コストは一番安い」「永遠のクリーンエネルギー」、この三大“大義名分“、これが全部嘘だとわかった。俺は総理のとき「原発は必要だ」と言っていたよ。どうしてこんな嘘を信じてしまったのかと、自分に対して悔しかったんだな。

 まあ、そう信じたのが馬鹿だと言われればそうだけどね、しかしこのまま黙ってていいんだろうか、間違ってたということを言わなくていいんだろうか、これは是非とも国民に知らせないといけないなと。「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。過ちを改めざる、これを過ちと謂う」という言葉を思い出してね。そうだなあと。お恥ずかしい事だけれども、総理の時代に言っていたことは間違っていたという反省の意味も込めてね、運動を展開しようと思ったんですよ。


■とても日本じゃ無理だ。だからゼロだ

 いろいろ本を読んでいるとね、核のゴミの捨て場所は世界どこにもない。たったひとつだけ、フィンランドの「オンカロ」というー洞窟とか隠れ家とかそういう意味らしいんだが、そこに処分場を作っているということがわかったんだ。それで(顧問を務める)国際公共政策研究センター主催で、経済界の人たちと視察に行こうかと言ったんです。2013年の8月のことだった。一緒に行った人には、原発を作っている三菱重工業、日立製作所、東芝の幹部もいた。

 ヘルシンキで飛行機を乗り換えて1時間半、空港を降りて車で沿岸から船に乗ると、オンカロのある島がある。フィンランドってのは岩盤で出来ているから、それを地下400メートルほどまで掘って、2キロ四方の広場を作っていた。すでに完成しているように見えたんだけど、「あとひとつ審査が必要だ。壁を見てくれ」という。よく見ると、壁に湿気がある。10万年保管しないといけないから、その影響がないかという審査が残っていたんだ。10万年だよ?そうしないと毒性が消えないっていうんだ。気の遠くなるような話だよね。

 しかも2キロ四方の広場も、たった2基分のゴミの容量でしかない。フィンランドには原発が4基あるから、あと2基分の場所はまだ見つかってないということなんだ。日本には原発が54基ある。これを見てね、日本じゃ1基分もできないなと。しかも今までの廃棄物の処分場もない。これは無理だなと思った。

 それで、視察に参加した経済界の幹部たち、中には原発の専門家たちもいるから「これはもう日本は原発ゼロにしなきゃだめだな」と言ったら、「いやいや、困ります」と言うんだよね。「いや、小泉さんには“やっぱり原発必要だ“と言ってもらえるとありがたいんですが」って。「いや、それはできない」と言ったよ。

 この視察の話を毎日新聞の山田孝男記者が聞きつけて、毎週月曜日の『風知草』というコラムに『小泉純一郎の「原発ゼロ」』っていう見出しで出した。それからですよ。“総理のときに原発を推進していた小泉が原発ゼロを言い出した“と、あっちこっちから講演の以来が殺到ですよ。マスコミの力は凄いなと思ったね。前から言ってたのに、全然報道してくれなったなかったんだけど(笑)。

 私の話はわかりやすいからね。例えば産業廃棄物があるでしょう。ゴミを処理する会社を作りたいと思ったら、まず自分で処分場を見つけない限り都道府県知事は認可を出さない。ところが原発のゴミは毒性が産廃どころじゃないにも関わらず、日本中どこにも処分場がないのに政府は許可するんだ。どれだけ危険か。不思議でしょうがないと。事故から6年経ってタンクも汚染水でいっぱいでしょう。除染で出た廃棄物も置き場所がないくらい。とても日本じゃ無理だ。だからゼロだと主張したんだ。

 そしたらね、経済界の推進論者の人たちが「小泉さんね、将来ならともかく、直ちににゼロなんて、とんでもないですよ」という。「2、3ヶ月くらいは我慢できるでしょうけど、寒い冬、暑い夏、エアコンなしにはやっていけませんよ。経済活動もできません。ほとんどが原発の電気使ってるんですから」と。彼らは今でもそういうこと言ってるよ。「直ちにゼロなんて無責任だ。30年後とか50年後とか、先の話だ」って。最近、民進党の中でも30年代にゼロという勢力と、直ちにゼロだという勢力がもめているよね。何を考えてるんだと言いたいね。

 事故が起こった2011年3月から2013年の9月まで、原発はたった2基しか動いていなかった。そこから2015年の9月まではゼロ。今は愛媛の伊方、鹿児島の川内の2基だけ。つまり、6年間でたった2基しか動いていないんだ。

 推進論者は以前「太陽光や風力は原発に替わるエネルギーにはならないよ。太陽光は全電源の2%。原発の30%分なんて賄えないだろう」と言っていた。ところが推進論者が馬鹿にしてた2%にも原発は行ってないんだ。自然エネルギー以下だ。しかも、北海道から九州・沖縄まで、電気が足りなくて停電になったことは一日もない。暑い夏も、寒い冬も。「直ちにゼロ」ってのを、もう証明しちゃってるんだ。原発ゼロでも6年間、十分生活できる、電力が余ってるという状況を作っちゃっているんだ。

 こういうこともわかってるのに推進論者は「直ちにゼロなんて無責任だ」という。どっちが無責任だ。経産省も資源エネルギー庁も原発会社も、「小泉さん、嘘を言わないでくださいよ」って一言も言ってこない。私の言っていることが本当だとわかってるからだ。当時は日本政府も依存度を減らすと言っていたんだけど、いまは、将来は基幹エネルギーとして20%台を維持するというようになったでしょ?動かそうという気がしれない。もうおかしいね。

 「原発は安い」と言うのも嘘だとわかってきた。東電だけで損害賠償、除染活動、まして廃炉なんて、世界で最も進んでいるイギリスだって100年くらいかかると言ってるんだ。日本でも事故が起きた頃は廃炉費用は1兆円くらいじゃないかと言ってたのがどんどん増えて、今は8兆円かかるという。損害賠償も東電で出せない、除染費用も政府に支援を求めてくる。廃炉だって追加支援を求めてくる、安いどころじゃないんだよ。今いくらかかっても原発を維持したいという風に変わってきちゃったんだよ。これもおかしいよ。

 「もんじゅ」だって結局ダメだった。「無限のエネルギー、夢の原子炉」じゃない。「幻の原子炉」だよ。1985年に始めて94年に完成したけど、故障してだめ。名前は良いんだよ(笑)。でも30年経っても“文殊の知恵“が出なかったんだよ。3人寄ろうが300人寄ろうが、“文殊の知恵“は出なかった。その間、1兆1千億円税金がダメになりましたね。コストが安いなんてとんでもないよ。

 日本みたいに狭い島国で、地震も多くて火山の噴火もある国では、安全対策にますます金がかかる。太陽光とか風量くとか地熱とかはコストはますます安くなってくる。原発に頼らないで太陽、風、地熱、水力、潮力、さまざまな自然エネルギーを使って経済発展させるほうが遥かに安全でいい国になると思うんだ。

 ドイツやスペインは自然エネルギーだけで30%まで行っちゃってる。太陽光にしても風力にしても外国の方が進んでいるね。日本も政府が「原発をやめる、自然エネルギーでやっていこう」と宣言して奨励策を取れば30年もかかんないと思うね。

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最終更新:3/9(木) 15:45

AbemaTIMES