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クルマ自体の性能低下も!車検でもチェックしないクルマ重要部品に大きな問題

3/10(金) 11:51配信

オートックワン

まず写真を御覧頂きたい。足回りの重要構成部品『ダンパー』(正式名称はショックアブソーバー)上端部に発生した錆である。この写真を私のWebで紹介したところ「大丈夫なのか?」と、大騒ぎになった。実際、上端部が壊れると減衰機能を全く失い、走行安定性は著しく悪化してしまう。

ダンパー防錆テスト等の写真をチェック

しかも新車で購入して3年も経ってないのに、ここまで錆びていたというから驚く。外部から確認出来る部分の錆なら気がつくため対応可能。けれどダンパー上端部には金属または樹脂のカバーが掛かっており、車検時の点検でもチェックしない。突如ダンパーの破壊に結びつくということ。

危険性はないのだろうか? 錆の出ていた自動車メーカーに問い合わせると「問題無いです」。保証期間中の耐久性を確認出来ているのだろう。もちろんそれだけでは納得出来ない。保証期間終わった後もクルマは使う。その後、様々な取材をしてみた。実状のレポートをお届けしたい。

ちなみに錆びたダンパーは新車に装着されていた部品で『ザックス社』の韓国工場製。日本製のダンパーも錆びるのか? はたまたこのまま使い続けて問題ないのだろうか?

まず現在販売されているダンパーで最も錆に強いと言われている『TEIN』というメーカーに問い合わせてみた。

すると「自社製品の防錆性能確認のため他のメーカーの製品も塩水噴霧試験を行っており、今回問い合わせのあった純正ダンパーは500時間まで確認しています」。現物を確認したいと頼んだところ「機密事項ではないのでどうぞ」。私もダンパーの防錆について考えたことがなかったから興味深い。

行くとテスト装置でダンパーに塩分を含む霧を吹きかけており、試験は現在進行形だった。この時に塩水噴霧試験をしていたのは、KYB製とショーワ製、韓国ザックス製(3つとも純正装着部品)、そしてTEINの製品。この段階で韓国ザックスの錆は、最初に紹介した写真より軽度だった。

500時間だと、融雪剤を撒く地域に当てはめたら2年分くらいだろうか? ザックス以外の純正品も錆びていることに驚く(伸縮するロッドは絶えず動いているため錆びない)。全てのダンパーに金属または樹脂のキャップが付いているため、外側から見えないだけ。10年は持たないかも。

さらに調べてみると、ダンパーを覆うカバー付けて融雪剤の掛かりにくくしていたり、金属キャップで錆の発生を遅らせることも出来るという。とはいえ防錆性能は高い方が良いに越したことは無い。実際、定評通りTEINのダンパーを見たら明らかに錆の発生は抑えられている。

新品時の韓国ザックス製ダンパーの上端部を見ると、地金のまま何の防錆対策もしておらず、錆びることは容易に想像出来る。けれど意外なことに金属の表面処理をしているKYBとショーワも錆び始めていた。TEINはどんな防錆処理をしているのだろうか?工場を見せてもらうと、やはり入念な対策をしていました。

ダンパーの構成部品はTEIN独自開発の下地処理を行った後、下塗り。その上で優れた防錆効果を持つ粉体塗装をしていた。韓国ザックス製が「金属の素材そのもの」だとすれば、KYB製とショーワ製は防錆効果持つ処理を1層コート。TEINが2層コートになっている。

純正部品も2層コートを採用すればいいのだけれど、コスト的に高くなってしまう。冷静になって評価すると、融雪剤を撒かないような地域ではオーバースペックになるという判断なんだと思う。とはいえ条件が悪いと錆びることは確認出来た。塩水噴霧試験より厳しい条件になることも多い。

ということで、どんな使われ方をしていたか解らない中古車を買ったり、融雪剤のある道を走ったなら、少なくとも車検のタイミングで金属/樹脂キャップ外し、ダンパー上端部分の安全確認など行った方が良いと思う。ダンパー交換をする時も、防錆性能についてしっかり確認すべきだ。

保証期間を過ぎて発生した錆によるトラブルは、基本的にユーザーの責任。事故を起こせば整備不良で所有車の責任ということになるので注意して欲しい。

[Text:国沢光宏]

最終更新:3/10(金) 11:51
オートックワン