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大幅上昇のブラジル株式市場、その背景と今後の期待要因は?

3/11(土) 10:15配信

投信1

2016年のブラジル株式市場は代表的株価指数であるボベスパ指数が+39%と大幅に上昇し、2017年に入った後も上昇基調が続いています。今後の株式市場の見通しや運用戦略について、HSBCグローバル・アセット・マネジメント運用担当者のビクター・ベナビデスとリー・レイに聞きました。

――ブラジル株式市場は2016年に大幅に上昇しましたが、その背景に何があったのでしょうか? 

主に「政局の混迷打開」と「商品市況の回復」が理由として挙げられます。

まず、政治面では、2016年上半期にジルマ・ルセフ前大統領の罷免に向けた動きが加速し、8月にはテメル副大統領が大統領に昇格*するなど、政局混迷の収束とテメル政権への期待が株式市場の上昇要因となりました(図表1参照)。また、テメル政権は、財政健全化と経済活性化に積極的に取り組んでいることが注目され、ブラジル株式の一段高に繋がりました。(*テメル大統領の任期は2018年末まで)

商品価格の反転上昇も、投資家心理の改善に寄与しました(図表2参照)。2016年は国際商品市況が上値を追う展開となり、鉄鉱石や原油の輸出国であるブラジルでは、鉄鉱石生産で世界最大手のヴァ―レ、大手石油会社のペトロブラスなど大型の資源関連銘柄の株価が上昇しました。

――2017年のブラジル株式市場にとり、さらなる上昇要因を聞かせて下さい。

今後の上昇要因として、(1)一段の金融緩和、(2)構造改革の進展、の2点に当社は注目しています。

ブラジルのインフレ率は2016年1月の前年同月比+10.7%をピークに低下し、2017年1月は+5.4%と2017年の目標レンジ内(3~6%)に収まりました。インフレが低下する中、ブラジル中央銀行は2016年10月に約4年振りの利下げに踏み切り、その後連続的に利下げを実施しています(図表3参照)。

今後もインフレ率の低下が見込まれ、中央銀行は一段の利下げを行うと見られます。中央銀行が集計する現地市場関係者の予想(3月3日時点)では、2017年末の政策金利は9.25%と、年内にさらに合計3%の大幅利下げが見込まれています。

また、テメル政権は財政改革を中心に各種構造改革に積極的に取り組んでいます(詳細は後述)。前ジルマ政権下で停滞した改革がテメル政権移行後は前進しており、株式市場は引き続きこの動きを評価すると見られます。

――改革の動きについて詳しく教えてください。

様々な構造改革が異なるレベルで進行しています。財政改革では、政府は歳出削減に注力しており、以下の2つの動きが注目されます。

• 歳出上限の設定:政府は歳出抑制を徹底すべく、今後20年間に亘り歳出の伸びをインフレ率以下に抑える内容の「歳出上限規制に係る憲法改正案」を議会に提出し、同案は2016年12月に議会で承認されました。

• 社会保障改革:退職金支給開始年齢を65歳に設定し、これを全分野(公務員、軍人、都市・地方など)で一本化することにより、社会保障の支出入を均衡化することを目的としています。政府は2016年末に年金制度改革を柱とする社会保障改革に係る憲法改正案を議会に提出しており、2017年上半期中の憲法改正を目指しています。

構造改革は産業レベルでも進められています。

• エネルギー業界では、大手石油会社ペトロブラスの事業権を見直す動きが進められています。例えば、同社が岩塩層下(プレサル)油田の権益を最低30%保有するとの規制は撤廃されました。

• 「国営企業責任法」は、経営審議会の構成を含み、より厳しいコーポレート・ガバナンスについて規定しています。同法の下、ペトロブラスに加え、ブラジル中央電力、ブラジル銀行などの国営企業では、リストラや経営陣の刷新が進められています。

• 現在「汚職防止関連包括法案」が議会にかけられており、選挙活動資金の規制など、腐敗防止10項目が盛り込まれています。

――米国ではトランプ政権が発足しましたが、ブラジル株式への影響やリスクについてどう見ていますか? 

昨年11月8日の米国大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けて、ブラジル株式市場は他の新興国と同様、一時的に急落しました。

しかしながら、ブラジル経済は貿易依存度が比較的低く、米国・ブラジル間の貿易取引は限られています。

また、米国の金利上昇は新興国に影響を与えることが見込まれますが、ブラジルの金利は世界でも最も高く(現行の政策金利は12.25%)、なお大幅な利下げ余地があると考えます。

――ブラジル株式の運用状況について教えてください。

アクティブ運用のファンドマネジャーとして、我々は経済が不安定な時期にあっても堅調な収益を持続的に上げることができ、かつ競争力があるビジネスモデルを有する企業を選別しています。

セクター別では、教育関連を有望視しており、特に構造的な収益力を有する銘柄に注目しています。また高速道路運営、通信、銀行など金利低下から恩恵を受けるセクターを選好しています。

HSBC投信

最終更新:3/11(土) 10:15
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