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あの日逝った大切なペット、ひとへ「今どこにいますか?」 思いを綴る手紙

3/11(土) 8:45配信

BuzzFeed Japan

東日本大震災の遺族が綴る、あまりにも繊細で優しい言葉。その思いの深さに触れる。【石戸諭 / BuzzFeed】

東日本大震災から6年を迎えるのを前に、被災者が亡き人へ、ペットへの思いを綴った手紙がある。

東北学院大(仙台市)教授の金菱清さん=社会学=が集めたものだ。

読むなかで「被災者の声を『聞いたつもり』」になっていたことを痛感したという。そこには何が書かれていたのか?

金菱さんの専門は、当事者に聞き取りをするフィールドワークだ。

震災以後、被災者が死者や喪失とどう向き合っているのか、を大きなテーマに研究活動を続けている。

時間の経過とともに、あの震災で失った大切なものについて語る被災者が少しずつ増えてきた。

そう感じた金菱さんは、インタビュー調査だけではわからない思いに触れようと、手紙を書いてもらうことを思いつく。

「ほとんどのインタビューでは、こちらは聞きたいことを聞く、相手は話したいことを話すというところで終わってしまう」
「それだけで、私たちは被災した人の気持ちを知ったような気になっていないだろうか、と思ったんです」

これまでの調査で知り合った人、紹介してもらった人たちから31編を集め、『悲愛 あの日のあなたへ手紙をつづる』(新曜社)にまとめた。

ある人は亡くした夫に、ある人はまだ小学生だった娘に、ある人は一緒に生活していたペットに、大切な思いを綴る。土地への思いを綴った人もいた。

喪失への思いは、人それぞれ違う。だからあえて「人」への手紙だけに限定しなかった。

衝撃をうけた一節

31編のなかで、金菱さんが大きな衝撃を受けた一節がある。

宮城県多賀城市に住む、2歳年上の夫(当時50歳)を亡くした女性が綴ったものだ。
女性は、朝が一番つらい時間だ、と書き始める。

「『おはよう、パパ』。声には出さずに天井を見る。朝、アラームが鳴る前に目をさますようになったのは、最愛の夫であるあなたを失ってから」

「私は、一気に歳をとってしまったような気がするよ。ゆっくりスマホに手をのばしながらあなたを思うと、少しだけ、涙で目がうるむ」

「目がさめて、となりにあなたがいない現実を思い知る、朝が一番つらい時間」

女性は「復興」への違和感も綴った。

「物は再生できるけど死んだ人間は帰ってこない。だから、そんなの要らない」
「そんな気持ちがずっとあった。震災を乗りこえた人々の笑顔から目をそむけたくなる自分は、きっとまともじゃない、駄目な人間だと苦しむこともあった」

金菱さんは語る。

「長年当事者の聴き取りを中心にやってきましたが、どうやってインタビューしたらこんな言葉が聞けるんだろう、と考え込みました」

「些細な日常にほんとうにつらい瞬間がある。あまりに繊細で、第三者にはわからないだろう、と最初から語らずに蓋をしてしまうと思うんです」

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最終更新:3/11(土) 8:45
BuzzFeed Japan