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米海軍の誇り「エンタープライズ」8代目ついに除籍 その名は次代へ、そして未来へ?

3/11(土) 7:00配信

乗りものニュース

世界初の原子力空母「エンタープライズ」ついに除籍

 2017年2月3日(金)、アメリカ海軍からついに世界初の原子力空母「エンタープライズ」が除籍され、書類の上で正式に退役しました。

【画像】3代目「エンタープライズ」は帆船

「エンタープライズ」は、現在アメリカ海軍が10隻保有する原子力空母「ニミッツ級」の基礎を築き上げ、現代型空母のひな型を確立しました。また1960年代のベトナム戦争から1991(平成3)年の湾岸戦争、そして2001(平成13)年以降の対テロ戦争にも参加、実に半世紀にもわたり第一線で活躍。アメリカ海軍にとって大きな歴史的意義を持つ存在として知られます。

 実はアメリカ海軍から「エンタープライズ」が退役するのはこれで8回目となります。というのも「エンタープライズ」の名を持つ艦はこれまでアメリカ海軍において度々登場しており、その系譜は240年前のアメリカ独立戦争にまでさかのぼることができます。

 当時はまだ「アメリカ海軍」として成立する前でしたが、1775年にイギリス海軍から奪取したスループ船(小型の帆船)へはじめて「エンタープライズ」の名が与えられており、公式上においても彼女が初代「エンタープライズ」であると記録されています。

 一時期、初代と二代目「エンタープライズ」が併存したこともありましたが、「冒険」「積極」を意味するその名はその後100年の間に5隻もの帆船の戦闘艦に対して与えられ続けました。

太平洋戦争をくぐり抜け、その名を広く知らしめた7代目

 歴代「エンタープライズ」のなかでその歴史を最も大きく変えたのが、1938(昭和13)年に就役した7代目、空母「エンタープライズ」です。

 空母「エンタープライズ」は日本海軍による真珠湾攻撃時、幸運にも出航中であったことから被害を免れます。そしてのちの太平洋戦争における戦いぶりから「ラッキー(幸運の)E」とも呼ばれるようになりますが、その実態は「幸運」というよりも「悪運」の連続でした。

 1942(昭和17)年6月に行われたミッドウェー海戦では、「エンタープライズ」に艦載された急降下爆撃隊が日本海軍最大の空母「加賀」に殺到、これを集中攻撃し爆沈せしめます。さらに、機転を利かせて近くにいた空母「赤城」へと向かったほんの数機の急降下爆撃機が、同艦を自沈処分に追い込む致命傷を与えます。また翌日には空母「飛龍」を撃沈、「エンタープライズ」の急降下爆撃隊は、アメリカ海軍のミッドウェー海戦における大勝利の立役者となりました。

 しかしながらその大勝利の裏には、「エンタープライズ」を発進した魚雷搭載の雷撃機14機が、これに群がった日本の零戦に文字通り全滅させられ、たった4機しか生還できなかったという大きな代償を必要としました。

 ミッドウェー海戦後も「エンタープライズ」は常に最前線にあり、さらに悪運は続きます。特に日本海軍の空母「翔鶴」「瑞鶴」はライバル的な存在として何度も戦っており、2度も危うく沈めかけられる深刻なダメージを受けています。

 また太平洋戦争末期には、日本海軍の特攻機による被害を2回も受けています。しかしその都度応急修理に応急修理を重ね復活しており、満身創痍になりつつも、特に太平洋戦争序盤から中盤をアメリカが乗り切る主力となりました。

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