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「避難指示」帰還困難区域など除き解除 避難生活者「今の状況では帰る選択はない」

3/11(土) 18:13配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 東日本大震災での福島第一原発事故により、国は福島県内の11市町村に避難指示を出していた。この避難指示はこれまで順次解除されてきたが、新たに2つの自治体で解除されることが決まった。

 10日、総理官邸で復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会合が開かれ、安倍総理大臣は「福島においては本日、浪江町および富岡町の解除を決定した。本格的な復興のステージを迎える」と話した。また、今村復興大臣も「生活環境の整備、医療・教育・商業施設、そして仕事が出来る場作りを整備し、できるだけ『見える化』をして故郷に帰っていただきたい」と今後の展望を述べた。

 富岡町では来月1日に福島第一原発に近く放射線量が高い帰還困難区域を除いた区域で避難指示が解除され、浪江町でも帰還困難区域を除いた海沿いの一部の区域が今月31日に解除される。また複合商業施設「さくらモール」が、来月1日の避難指示解除に向けて整備が進められ、郡山市に移転していた町役場も富岡町での業務を再開し避難指示解除後に向けた準備を進めている。

 高木経済産業副大臣は「避難指示の解除は復興へのスタートであり、解除後は政府一丸となって産業、生業の再建、雇用の場の確保など浪江町・富岡町の復興に取り組んでいく」と決意を表明した。

 一方で、7市町村にまたがる帰還困難区域と第一原発が立地する大熊町、双葉町の全域は来月以降も避難指示が続き、状況は変わらない。

 国は避難指示を出す基準を、年間20ミリシーベルトに達するおそれのある地域としているが、この基準は平常時のものではなく、あくまで事故や核テロなどの緊急の対応が必要な状況での基準だ。ちなみに、資源エネルギー庁によると普通の生活で受ける放射線量は世界平均で年間2.4ミリシーベルトだという。

 今回の避難指示解除決定により、町を出て生活している住民は元の町に戻ることができるようになるが、去年行われたアンケートでは「戻りたいと考えている」と答えた人は富岡町で16%、浪江町で17.5%にとどまっている。

 文筆家の古谷経衡氏はこの結果を「当然だ」という。「東日本大震災の数日後、原発事故を聞いて恐怖を覚え山梨に行った。泊まった甲府のホテルには福島県ナンバーの車がたくさんいた。当時は西に逃げる人は職務放棄だと批判されていたが、原子力の事故は初めてだし目に見えないものなのでそれに対し、怖いと思って避難した人を僕は笑えない。問題なのは福島原発の原子炉の様子がまだ詳しく分からないということ。原子炉の中に無人カメラをいれて計測したところ500シーベルトが検出されたという報道があった。500シーベルトとは人間が10分で即死するレベル。そんな状態の建物があるのに今後の処理の仕方がまだ決まっていない。そんな建物が数km先にあるから帰りたくないと思うのは当たり前だ」と話した。

 避難指示が出ている富岡町に自宅がある市村高志さん(47)は、都内で母、妻、子ども3人と6人で避難生活を送っている。自宅は今「居住困難区域」にある。富岡町に仕事で来る機会は頻繁にあるというが「戻って来たっていう感覚とはちょっと違う」と感じるという。それは、町の変わり様に戸惑うからだ。避難指示が解除された富岡市に今は帰る気はないという。

 「原発の状況、放射線量の問題がまだ安心という訳ではない。今の状況では帰る選択はない。家も解体待ちをしているので、考えるのはまだ先。避難指示解除がスタートラインなのかゴールなのかは、これからの話だ」

 富岡町では来月、春の恒例行事だった「夜ノ森桜祭り」が7年ぶりに開催されることが決まった。原発事故前の賑わいは戻るのだろうか。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

最終更新:3/11(土) 18:13
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