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被災文書の保存修復に取り組む 奈良大学名誉教授・西山要一さん

3/12(日) 19:51配信

THE PAGE

被災文書の保存修復に取り組む 奈良大学名誉教授・西山要一さん 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪

 奈良を拠点にして、東日本大震災で発生した被災文書の保存修復活動に、震災直後から取り組む研究者がいる。奈良大学名誉教授で、現在は奈良教育大学の非常勤講師を務める西山要一さんだ。震災から6年が経過した今も、市民ボランティアとともに、被災した文書に一点ずつ向き合いながら保存修復を目指す。

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震災直後から被災文書の保存修復を継続

 西山さんは文化財保存科学の専門家。奈良大学教授だった2011年3月の東日本大震災発生直後から、学生や市民ボランティアに呼びかけ、津波などによる被災文書の保存修復に取り組んできた。

 同大学を退職した現在も、非常勤講師を務める奈良教育大学の理解を得て研究室を借り受け、作業場を確保。世話人を引き受けている「文化財保存修復市民の会」の会員らとともに、週一回程度のペースで保存修復作業を継続している。

 宮城県南三陸町の西光寺が所蔵していた被災文書の保存修復事業に、11年5月着手。2000点を超える文書の保存修復プロジェクトを、5年あまりの歳月を費やして、ようやく終えたばかりだ。活動日に研究室を訪問すると、早くも数名の会員とともに新しい保存修復作業に取り掛かっていた。

 大きな作業テーブルの上に、長さ1・3メートルほどの古文書が広げてある。岩手県の陸前高田市立博物館から保存修復依頼を受けた明治期の地籍図だ。軸装して丸めて保管されていた状態で被災した地籍図を10本預かった。

 津波に遭遇し、長い間海水に浸っていたため、あちこちで破損し、一部の文字や絵がにじんで確認できない。かびが点々と発生。紙の付着がひどいところは、開くことさえままならない。会員たちは地籍図を凝視しながら、慎重にメジャーで計測し、カメラで撮影していく。

 西山さんは作業を見守りながら、「文書の保存修復は破損状況を正確に記録することから始まります。修復に際しては、保存修復をする前の姿を記録することが、とても大切。記録をもとに仕上げていきますから」と話す。10点すべての保存修復作業を完了するまで、半年はかかるという。

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最終更新:3/16(木) 18:05
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