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「もう放っておいていい」憤りあらわ 慰安婦合意、逆風さらに 朴大統領罷免

西日本新聞 3/12(日) 11:41配信

 「間違った合意をした大統領が失職し、本当の解決に向けた勝負がこれから始まる」

 韓国憲法裁判所の大統領罷免決定から一夜明けた11日。ソウルの日本大使館前にある従軍慰安婦問題を象徴する少女像を守るボランティアらのテント前で大学2年の高勝奐(コスンファン)さん(19)は表情を引き締めた。問題解決に関する日韓合意に反対する署名に訪れる市民の数もいつになく多かった。

 日韓両国の長い懸案に決着をつけたはずの歴史的合意は、朴槿恵(パククネ)氏の罷免で漂流の危機に立っている。5月とみられる次期大統領選に朴氏の政策を引き継ぐ保守系の有力候補は見当たらず、支持率トップを独走する最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表は一貫して合意無効を訴える。

 文氏は、日本政府が拠出した10億円について「日本側は『慰安婦被害者の心を癒やすため』とするが、韓国政府は『謝罪と賠償の意味がある』として言い分が異なる」と批判。2月の世論調査では7割が日韓合意の「再交渉」を求めており、韓国内で大きなうねりになりつつある。

「もう放っておけ」

 「韓国には引き続き、誠実な履行を求めていきたい」-。岸田文雄外相は10日、朴氏の罷免で日韓合意がほごにされないよう、くぎを刺した。

 2015年末の合意は、安倍晋三首相にとって「賭け」だった。日韓関係が悪化すれば、軍事威嚇を繰り返す北朝鮮や、海洋進出を続ける中国に「付け入る隙を与える」(政府筋)恐れがある。米国もアジアにおける防衛力の弱体化につながると懸念していた。

 首相は持論を抑制し、初めて直接的な表現で「軍の関与」を認め「おわびと反省」に踏み込んだ。合意直後には保守色の強い首相支持層を中心に批判が殺到。それだけに着実に合意を履行し、目に見える形で「成果」を示す必要があった。

 だが、弱体化した朴政権は昨年12月、釜山の少女像設置を事実上、容認。1月に韓国の地方議員らが島根県・竹島での少女像設置へ募金活動の開始を表明すると、首相は周囲に「もう放っておいていい」と憤りをあらわにしたという。

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最終更新:3/13(月) 12:39

西日本新聞

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