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「CXー5」絶好調も、マツダの骨太なクルマ作りに立ちはだかる壁

3/12(日) 16:07配信

ニュースイッチ

次世代ガソリン、販売改革、そしてトヨタとの提携の行方

 2月に発売した新型スポーツ多目的車「CX―5」の累計受注台数(5日時点)が、1万6639台になったマツダ。月間販売計画台数を2400台に設定しており、その約7倍である。このところのマツダは「スカイアクティブ」技術を採用した第6世代製品の新車投入効果が一巡し、国内販売の苦戦が続いていた。一安心といきたいとろだが、課題は山積する。第7世代が立ち上がる今後数年間は、まさに足場固めの時期。ぶれないマツダの骨太なクルマ作りの前に立ちはだかる壁とは…。

 一つは燃費を3割改善できることをうたう次世代ガソリンエンジンの開発。中核となる技術が、「究極の燃焼」と呼ばれる燃焼方式、「HCCI(予混合圧縮自動着火)」だ。ごく薄いガソリンの混合気を、ディーゼルエンジンのように自己着火させて燃やし、燃費性能と環境性能を飛躍的に高められるという。

 理想的な燃焼とされる一方で、技術的なハードルも高い。1台のエンジンの中で通常の燃焼と瞬時に切り替える必要があるほか、安定的に燃える領域が狭いなど課題が多く、どの自動車メーカーでもいまだに実用化できていない。

 果たしてマツダはこの高いハードルを越えられるのか。これが第1の懸念材料だ。もしも実現できれば、自動車業界にもたらすインパクトはかつてのロータリーエンジンよりも大きいものになる。ただ自動車業界は電動化により開発投資も増え、中堅メーカーのマツダにとって優先順位をつける必要がある。

 第2の懸念材料として挙げられるのが、「職人気質」と言われるその社風。みずからに厳しく、理想とするものづくりを追い求めるのが職人。一方で時として頑固で、周囲の声に耳を貸さず、独善的になってしまう。これがマツダの社風によく似ているのだという。

 「今のマツダ車がうまくいっているのは、たまたまニーズと合ったから、そう考えて慢心しない方がいい。マツダは伝統的に開発部門が強く、マーケティング部門が弱い。人の話を聞かず、自分たちが作りたいように車を作る傾向がある」。ある有力ディーラーの幹部はこう打ち明ける。

 スカイアクティブはより技術難易度が高く、コストも高い領域に挑戦が続く。この結果、プレミアム化で正当化されたマツダ製品の上位価格帯シフトが続くものと推察される。ところが、そういったマツダの高価格帯製品を正しく販売する流通サイドの改善は随分と遅れているのが現実だ。製販が噛み合わなければ多大なリスクとなる。

 そして最後が、トヨタとの関係をどう生かすか。一昨年に発表したトヨタ自動車との提携拡大は。まだ具体策が見えない。

 資本関係に踏み込まず、緩やかな連合を組む両社。今回はより中長期的に、お互いにできるところから関係をつくっていこうという姿勢のようだ。

 だがそうした緩やかな関係は、組織を動かす上での力不足にもつながる。何の効果も生まないリスクと紙一重だ。そしてトヨタよりはマツダの方が、この提携の意味は重い。

 自動車メーカーにとって、環境技術や安全技術、情報技術など、生き残りを左右する要素はますます多くなり、重みを増している。年間百数十万台、世界シェア2%前後のマツダの規模で、どう競争力を保っていくかという課題はつねにつきまとってきた。トヨタとの緩やかな陣営の中で果実を得つつ独自性を出すのは、そう簡単なことではないだろう。

最終更新:3/12(日) 16:07
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