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<赤ちゃんハテナ箱>香水付けていいの? 世界で販売されるベビーフレグランス

毎日新聞 3/14(火) 10:10配信

 デパートのベビー用品売り場をのぞくと、ぬいぐるみやおもちゃに交じって「ベビーフレグランス」が売られていた。「赤ちゃんに香水?」とびっくりしたが、100カ国以上で販売されている人気商品だという。欧米に比べて香水をつける人が少ない日本で、ベビーフレグランスはどこまで浸透していくのだろうか。【生活報道部・坂根真理】

 三越銀座店(東京都中央区)10階にあるベビー用品売り場の一角。ぬいぐるみなどのベビー雑貨に交じって、コロンとした丸いボトルに入った香水「Kaloo フレグランス」が並ぶ。赤ちゃん連れの母親たちが「こんなのあるんだ」と物珍しそうな顔をして手にとっていく姿が見られた。

 販売員の女性は「最初は皆さん驚かれますが、出産祝いやプチギフトとして買っていかれるお客様も多いですね。スマホを片手に持って『SNSで見たんですけど』と言って、ベビーフレグランスを探しに来る女子高校生たちもいますよ」と笑顔を見せた。昨年11月に発売し、売れ行きは好調という。品切れになった商品もあるというから驚きだ。

 販売しているのは、世界各国のベビー用品を販売している会社「ダッドウェイ」(横浜市)。抱っこひもの「エルゴベビー」やベビー雑貨の「Sassy」などを扱う会社と聞けば、分かる人も多いかもしれない。

 フランスの高級ベビー雑貨ブランド「Kaloo」が、2019年に日本進出20年を迎えるのを機に、ダッドウェイは「新しいことに挑戦しよう」と日本ではまだなじみのうすいKaloo社のベビーフレグランスの国内販売に踏み切った。

 「日本で香水なんて売れるわけがない。まして赤ちゃんに香水だなんて」。1年前、マーケティング部の渡辺香さんが、ベビーフレグランス販売を提案したところ、社内からは反発の声が上がった。デパート側も「本当に安心で安全なのか」と販売をためらったという。

 だが、ベビーフレグランスは、本国フランスで2000年に発売され、今や103カ国に広がっている。「社内の8割が反対したけど、日本にまだないなんて遅いと説得しました」。最終的に、渡辺さんたちの熱意が会社を動かした。

 経済産業省によると、香水の出荷額は約30億円規模で、化粧品全体(約1兆5000億円)に比べると市場規模はかなり小さい。日本人は欧米人に比べて体臭があまりなく、毎日入浴する習慣があるため、香水を買い求める人は多くないという。

 香水文化のない日本でどうやってベビーフレグランスを売るのか。新しいものに反応する10~20代をターゲットにしようと考えた。

 丸いボトルの上にウサギやクマなどのぬいぐるみの顔がのった愛らしいデザインに、若い女性たちが「可愛い!」と即座に反応。SNS上でベビーフレグランスの写真をアップし始め、瞬く間に人気が広がっていったという。

 渡辺さんは「新しい世代にベビー商品を届けたことは大きな成果だ。新規顧客開拓にもつながっている」と笑顔を見せる。

 通常の香水はアルコールを使っているため、対象年齢は6歳以上という規定がある。だが、Kaloo社のベビーフレグランスはアルコールフリーで、肌への刺激も少ない。アルコール成分が入っていないため、香りは1時間ほどで飛ぶという。赤ちゃんでも使えるように香りの刺激は控えめだ。ほんのりとした柔らかなにおいなので、香水をつけたことがない人も使いやすいのも特徴だ。

 広報担当の玉丸しおりさんは「フランスでは赤ちゃんに香りをつけるのは普通の習慣ですが、赤ちゃんに香水をつけることに抵抗がある人はぬいぐるみにつけたり、ルームフレグランスとして使ったりするのもお勧め。飾っておくだけでもいいと思うし、生活シーンに役立ててもらえれば」と話す。

 日本赤ちゃん学会理事長で小児神経科医の小西行郎さんは「新生児の時期は味覚と嗅覚の発達がめざましい頃です。母乳のにおいを探せないと生きられないですからね。赤ちゃんは母乳のにおいを好むという海外の研究データもあります」と話し、赤ちゃんに香水をつけることには懸念を示した。

 香水の需要は少なくても、さまざまな香りがする柔軟剤があふれかえる日本。ベビーフレグランスはどこまで浸透していくのだろうか、行方を見守りたい。

最終更新:3/14(火) 15:40

毎日新聞

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