ここから本文です

ふるさと納税に23区悲鳴 「207億円消える」新年度見込み減収額6割増

産経新聞 3/14(火) 7:55配信

 「ふるさと納税」で税収減少が顕著となった東京都内区部が対応に苦慮している。平成29年度に見込まれる23区の減収額は約207億円で、28年度の約129億円から6割増えることになる。こうした中、東京23区でつくる特別区長会(会長・西川太一郎荒川区長)は13日、待機児童対策など住民サービスに支障が出かねないとして、ふるさと納税の過剰な返礼品を是正し、本来の趣旨に沿った制度に見直すよう総務省に要望した。

 ふるさと納税は出身地や愛着のある自治体に寄付する代わりに、住んでいる自治体に納める住民税などが軽くなる制度。地方の自治体が肉や魚など高価な特産品で寄付を募る一方、特産品がなく寄付が集まりにくい都会では税収が大きく減る状況が続いている。減収分の一部を地方交付税で穴埋めする仕組みがあるが、23区は交付税を受けておらず対象外だ。

 ◆区長会「見直しを」

 要望では、28年度の減収額129億円は、100人規模の区立保育所109カ所の年間運営費に相当すると説明。「税の使われ方を考えるきっかけになる」など、制度の趣旨には賛同した上で、過剰な返礼品による見返りを受けた住民が減税の恩恵を受け、その他の住民は行政サービスの低下だけを被り不公平だなどと指摘した。さらに、自治体間の税収の偏りは、地方税や地方交付税の拡充で対応するよう求めている。

 各区はどう考えるのか。

 29年度の予算案で23区最大となる30億円の減収を見込んでいる世田谷区の保坂展人区長は「学校1つをつくるのを諦める金額」と強調し、返礼品競争を「行き過ぎ」と批判する。

 港区は28年度の15億円から29年度は23億円に減収が膨らむ見通し。ただ、「加速度的に増えているため、何らかの対応が必要だが、区全体としての議論には至っていない」(財政課)として静観している状況だ。

 葛飾区は新年度から返礼品導入を打ち出した。青木克徳区長は「地場産業など特産品を考えたい」と検討に入る。既に返礼品を用意している中野区では、87品中70品が交流のある地方自治体の特産品で山梨県甲州市のウイスキーセットが人気だという。

 返礼品に頼らず政策で勝負し、寄付を募ろうという動きもある。29年度に7億円の減収が見込まれる豊島区は対策として、手塚治虫や赤塚不二夫ら著名な漫画家が居住していたことで知られた「トキワ荘」復元計画に寄付を求めることを検討。文京区は子供の貧困対策事業にふるさと納税を活用する方針という。

 ◆総務省「意見聞く」

 返礼品をめぐっては「制度本来の趣旨と違う」といった批判も多い。千葉県勝浦市では提供された地域商品券がネット上で転売されるなどの問題も起きた。

 高市早苗総務相は2月に会見で「返礼品のコストの割合が大きいと、寄付金が住民サービスのために十分に活用されないという問題もある」と指摘。「あらゆる課題を一度洗い出しどのように改善できるか検討する」と述べていた。総務省は有識者や地方自治体の担当者の意見を聞く方針だ。

最終更新:3/14(火) 12:08

産経新聞

Yahoo!ニュースからのお知らせ