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母国語で家畜衛生 指導徹底 海外実習生 周知が鍵 6カ国語ポスター 農水省

3/14(火) 7:00配信

日本農業新聞

 畜産農場で家畜・家禽(かきん)の飼養技術を学ぶ外国人に、日本の衛生的な飼養管理技術を知ってもらおうと、日本語や英語以外に、実習生の母国語でポスターを作成したり、講習を開いたりする取り組みが広がってきた。農場の危害分析重要管理点(HACCP)の取得には、全従業員が農場の衛生管理方針を理解していることが条件。高病原性鳥インフルエンザが国内に侵入し口蹄(こうてい)疫が隣の韓国で発生したこともあり、衛生管理の徹底に向け、母国語での研修は農場経営者に歓迎されている。

 畜産の現場で日本の技術を学びに来た海外からの技能実習生が増え、農場の衛生管理を担うケースが増えている。

 農水省と中央畜産会は今月、家畜飼養衛生管理基準の要点をポスタ―にする際に、外国語を入れた。飼養衛生管理基準は、家畜伝染病が侵入しないよう国がまとめた基本事項。農場の作業に携わる人に熟知してもらいたい内容で、農場などに貼り出して周知を徹底してもらう。

 ポスターは2種類。一つは日本語と英語の他にタイ語とベトナム語で記載。もう一つは日本語と英語の他に、中国語と韓国語を入れ、計6カ国語をそろえた。

 「伝染病の発生予防の徹底をお願いします」と日本語で表題を書き、その下に各国の言葉を続けた。さらに、「過去1週間以内に海外から入国した者は衛生管理区域に立ち入らせない」など6項目の要点を、日本語と各国語で示した。農水省は「外国の方にも、衛生対策を知ってもらいたい」と話している。

HACCP取得研修も 千葉

 農水省は家畜を衛生的に飼育するために、危害要因を分析する手法を取り入れた農場HACCPの認証制度を推進しているが、取得には、全従業員が農場主が定める衛生管理方針を理解していることが必須条件となる。

 千葉県畜産協会は2016年度からHACCPの研修会にタイ語とフィリピンのタガログ語を導入した。外国人技能実習生に、母国語で衛生管理対策を教える。

 同協会は「HACCPを進めるには、従業員全員が管理を知らないといけないが、外国人実習生に頼っているところが多い」として、母国語での講座が必要と判断した。

 昨年11月にフィリピン人向け研修を東庄町で開き、20人ほどが参加。今年も2月にタイ人向けを開講した。通訳を付け、専用の資料も用意した。「母国語だと分かりやすいようで質問も出た。反応があった」と同協会では手応えを感じる。

 同町で母豚100頭の養豚を経営する東海ファームでは中国、フィリピン、タイから来た実習生が技術習得に励む。「旅行で使うような言葉は通じるが、専門用語となると説明が難しい」と同社の高木敏行社長。母国語での研修は、理解を深めるのに役立つと歓迎する。

在留資格申請 徐々に増加

 外国人技能実習を支援する国際研修協力機構(JITCO)によると、外国人技能実習生の人数は2008年のリーマン・ショック時に落ち込んだものの、その後増え続けている。職種別で多いのは繊維・衣服、機械・金属関係だが、農業関係も増えている。

 技能実習生は入国1年目は技能習得が目的。修了時点で技能検定を受け、2年目以降の在留資格が得られる。2年目からは習得した技術を習熟させる段階に入る。2年目以降の在留資格申請者は畜産で1606人(15年度)。前年度より9.4%増え、畜産現場にも徐々に外国人が浸透している。(山野恭伸)

日本農業新聞

最終更新:3/15(水) 16:29
日本農業新聞