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WBC侍J米国行きの裏に千賀と小林のフォークを巡る信頼感

3/16(木) 6:00配信

THE PAGE

 足が吊った。
「軸足じゃなくて前足。こんなの初めて」
 もう5回が限界だった。
「6回もいくぞ」と権藤投手コーチに打診されたが、クビを振った。
 肉体が悲鳴を上げたのだ。千賀滉大(ソフトバンク)24歳。全身全霊で投げた魂の5イニングだった。

 15日東京ドーム。
 2勝0敗で迎えたイスラエル戦には、負け方次第では最悪のシナリオがあった。
 もし5点以上を取られてイスラエルに敗れた場合、3チームが2勝1敗で並び、失点率で再びイスラエルとプレーオフを戦わねばならなかったのである。

 のしかかる強烈なプレッシャー。しかも、3日前のオランダ戦後に急に言われた緊急先発である。ソフトバンクでは、先発起用されているが、侍ジャパンに招集されてからは、ずっと中継ぎ調整を続けてきた。
「やることには変わりはなかっったのですが」。2日間、先発調整を行ったが、中継ぎから先発への転向は、電子レンジでチンするようなわけにはいかない。
「4回をゼロに抑えること」
 それが千賀が自らに科したノルマだった。

 先頭打者のフルドにストレートをライト前に弾かれた。だが、メジャー経験のあるケリーを6-4-3の併殺打。メジャーで32本塁打をマークしたことのあるデービスには、追い込んでからフォークを2球続けた。結果、スイングアウトである。

「均衡していた。先に点を取られることだけは駄目だと思った」

 しかし、お化けと評されるフォークを自由自在に操れなかった。
 ワンバウンドになり、抜けて甘くも入った。

「フォークがよくなかった。でも、そこを誠司さんがうまく使ってくれた。フォークはイニングを重ねるほどにきつくなってきた。とにかく低めに。そこだけを心がけた」

 3回、先頭のクリーガーにはコントロールの効かないフォークがスパイクを直撃してデッドボールになった。バーチャムに送られ、一死二塁で、ヒットを許したフルド。彼にもカウント0-1からのフォークが高めに抜けた。だが、小林は、2球続けてフォークを要求。結果は二ゴロである。ランナーが三塁に進み、ケリーにまた初球、2球とフォークを続けて追い込み、最後は152キロのストレート。ケリーは動けなかった。

 圧巻は4回である。二死からボレンスタインに対して、カウント1-2から、なんとフォークを3連投したのである。1球目は抜けてファウル、2球目はワンバウンド、3球目も高めに浮いたがピッチャーゴロ。小林は、千賀が扱いに苦しむフォークを捨てることをせず、これでもかと要求した。

「千賀の一番凄いボールはフォークなんです。いかに生かすか。ワンバウンドになっても相手に意識させるために必要なんです。一方、難しいボールであることも確かです。続けたのは、その布石。ここぞで、ストレートが使えた。すべてが勝負球。そんな試合でした」

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最終更新:3/16(木) 7:41
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