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農作業安全 地域でけん引 アドバイザー始動

3/15(水) 7:01配信

日本農業新聞

 他産業の労働安全のノウハウを生かし、農作業事故を未然に防ごうと「農作業安全アドバイザー」が、営農現場で初めて講習を行った。アドバイザーは、製造業などの安全対策に携わる労働安全コンサルタントの中から現在、全国で99人が認定されている。農業分野での死亡事故が後を絶たない中、労働安全の意識を浸透させるためには、全国でアドバイザーを増やす必要がある。

現場に出向き講習 富山

 労働安全コンサルタントは国家資格で、職場の安全管理について十分な知識と経験を有する専門家だ。農作業安全アドバイザーは、日本労働安全衛生コンサルタント会がその中から認定する仕組みで2016年にスタートした。

 これまで、農研機構で研修を受けた99人を認定。17年は労働安全コンサルタントに加え、衛生管理の専門家として国が認定する労働衛生コンサルタントも対象にする予定だ。

 富山県南砺市の片山昌作さん(56)は12日、全国のアドバイザーの中で初めて営農現場での講習を行った。同市の農事組合法人在房で組合員20人に、乗用型トラクターの乗り降りの注意点や使い捨てマスクの装着など、安全確保の基本を一つ一つ丁寧に説明した。

 片山さんの講義の後、受講者はトラクターの外観と周囲に異常がないかを指さし確認し、左の手すりを左手でつかんで足元を見ながら乗り降りした。簡単な動作でも普段とは異なる動きに、受講者が戸惑う場面も見られた。

 在房ではこれまで大きな農作業事故は発生していないが、組合員に安全の基本を身に付けてほしいと考え、講習を依頼した。水口新一代表理事は「農機の運転方法などの技術面は指導してきたが、安全確保は組合員に任せてきた。慣れによる作業を改め、細かく安全を確認していきたい」と話す。

 アドバイザーが営農現場で指導する意義について片山さんは「危険回避やリスク低減の方法を具体的に伝えられるのが利点」と話す。どこに問題があるかを理論的に解説し、単純な行動にも安全を確保するための原理があると理解してもらうことが大切だという。

 新潟県JAえちご上越は14年から、労働安全・衛生コンサルタントが、農業生産法人の農作業安全を担当する農作業安全管理者の養成講習を行っている。JAが管理者を認証するが、16年からアドバイザーが講師として活躍する。

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最終更新:3/15(水) 7:01
日本農業新聞